このブログでは夏目漱石にまつわるいろいろな奇書を扱ってまいりました🙇

たとえば夏目漱石が異能使いになるマンガ👇


あるいは夏目漱石が現代の 女子高生 になるマンガ👇


しかし奇想という意味にかけては本作の右に出る作品はないかもしれません😳



零余子著 森倉円絵「夏目漱石ファンタジア」ファンタジア文庫より。


ちなみに本作はマンガではなくライトノベルです。作者の名前も「むかご」ではなく「れいよし」これも夏目漱石の作品に因んだペンネームだとか。


1910年、伊豆修善寺にて大量の吐血とともに生死の境を彷徨ったとされる夏目漱石。

しかし "実際" には、このとき政府の放った刺客によって暗殺されていたのです🤯

一度亡くなった漱石の脳🧠は、金のためなら何でもやる闇医師 野口英世の手によって、冷凍保存されていたかつての恋人 樋口一葉の体に移植され、漱石は新たに女性教諭 樋口夏子として、この世に生を受け直したのでした……というお話。



何で野口英世なんだよと最初思いましたが、いうまでもなく千円札つながりですね。ちなみに夏目漱石と樋口一葉との間に、恋人ではないまでも一定の縁があったことは本当らしいです。

作品中に考察を兼ねて成蹊大学准教授の大橋崇行によるコラムが挿入されています👇



夏目漱石が政府から狙われたのは、「表現の自由」を守る創作者集団「木曜会」を率いて、政府と社会主義者両方による表現への圧迫に対し武装抵抗を繰り広げたがゆえ。


しかし自らが「死んだ」ことにして漱石改め夏子は木曜会の活動を停止。政府とは和解🤝

神田高等女学校の教諭を務める傍らで、ニセ夏目漱石を操り暗躍する新勢力の正体を探るのでした。


まあ、史実と荒唐無稽な虚構を可能な限り接近させ、夏目漱石のトリビアを披露しつつ、アクション+ミステリーの楽しいエンタメという感じです。

反面、大逆事件の理解は浅薄。自由主義の理解はリバタリアンかいわゆる「表自」のレベル。夏目漱石への深い理解みたいなのを期待して読むと、かなりのガッカリ感があるとは思いますが😅


伏線を丁寧に回収し、かなり激しめのガンアクション🔫を交えつつ、ギャグもふんだんに入ってます。ストーリーとしてはなかなかの完成度かも。

樋口一葉の号の由来(おカネ=おアシがない)とジオングを引っ掛けたネタには大笑いしましたが、オタクはいつまで初代ガンダムを擦るのかしら、という感想も😔


ワープロの時代から創作を始め、夏目漱石を題材にしたエンタメをこれまでも何作も応募してきたという 作者👇



野口英世(会津出身)に絡めて新撰組の生き残り斎藤一を登場させたり、まだ発揮していない引き出しはたくさんありそうです🙂







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