防災とSDGsについてもう少し👇


といっても本作はSDGsとは何の関わりもない江戸時代を舞台にした時代小説ですが。



赤神諒著「火山に馳す 浅間大変秘抄」角川書店より。

法律家・弁護士としての顔も持つ作者。専門は環境法と。


主人公は勘定吟味役 根岸九郎左エ門。あまりピンとこないかもしれませんが奇談集「耳袋」の作者といえば分かる人もいるかも。

庶民と親しく交わることを好み、一説には身体に刺青があり遠山の金さんのモデルになったとも🌸


ときは田沼意次の時代。商人の力を借りて政治を執った田沼意次は、金権政治の権化として責任を問われる一方、その合理主義をもって幕政の改革を進めていました。


そこで突然起こった浅間山の大噴火🌋


周囲の大地に多大な被害を与えただけではなく、舞い上がった火山灰は各地に冷害をもたらしました。政治は一気に不安定になります🏯


田沼ほか幕閣は特に被害の大きかった鎌原村の廃村を早々に決めますが、そこに待ったをかけたのが前述の根岸九郎左エ門。

根岸は廃村も選択肢の一つに入れつつも、自ら鎌原村に入って粘り強く村人と話し合いを重ね、村の存続を決意します。


当然反発する幕府の官僚たち。現地の代官もまた合理主義の立場から廃村を支持しました。

しかし「誰一人取り残さない」ことを主張し、村の存続に力を尽くす根岸。(江戸時代にそういう発想があったかはともかく😅)まさにこれこそSDGsの精神といえましょう。


とはいえ村の存続は難事業。あまりのショックに放心状態の人、あるいはやり場のない怒りを根岸や役人に向けるもの。

そして誰よりも復興に熱心であったがゆえに矢尽き刀折れ斃れるものも😢

さらにこれを奇貨としてソロバンを弾く商人たち……。

情けは人の為ならず。それでも辛くも復興をもたらせたのは、人と人の繋がりということになりそう。


復興の記憶と自信はいつか別の被災地に伝わり、そこでまた復興への力となること😃

この度の能登復興事業でも、すでに過疎化していた地域は無理に復興させず移住を進めるべしとする意見が与野党問わずに出ています。

いつの時代も変わらぬ発想といえますが、しかしそれへの答えは既に本作中に書かれているといえましょう💪








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