ジャケ買いならぬタイトル買い。とはいえ作者の名前はアニメ「アンデッドガール・マーダーファルス」の原作者として知っていましたが。



というわけで青崎有吾著「地雷グリコ」角川書店より。



いささか不穏なタイトルですが、グリコとはジャンケンの勝ち手がグ・リ・コ✊とかパ・イ・ナ・ツ・プ・ル🖐と進むあのゲームのこと。

地雷とは特定の歩数を「地雷」に指定し、そこを踏んでしまうとペナルティで10歩下がらなければならないという特殊ルール。

グリコで3歩、パイナツプルとチヨコレイトは6歩ですから、3の倍数に地雷を仕掛けるのがベター。

とはいえ具体的に何歩目に地雷を置いたら最善手となるのか。

やり慣れたゲームがほんの少しのルール変更で高度な頭脳戦になるのが本作の醍醐味です👣


主人公 射守矢真兎(いもりや まと)はなぜか勝負事がやたらと強い女子高校生🎯

ギャル風の外見と飄々とした表情。にもかかわらず強烈なハッタリと読み手の持ち主。

時には図らずも、時には図って、プライドとカネを賭けた大勝負に臨みます。

別に血生臭いシーンがあるわけではないですが、時には賭け金が途方もない額になることも。それがギャンブル💸



本作に登場するゲームは表題作の「地雷グリコ」の他に、百人一首の絵札を使った神経衰弱「坊主衰弱」。

プレーヤーが考案する独自手を交えた「自由律ジャンケン」に数字当てゲーム「だるまさんがかぞえた」。

そして四つの部屋に分けられたカードを取り合う「フォールーム・ポーカー」の5つ。


人がギャンブルに挑む理由はさまざま。時には高度な心理ゲームや数学ゲームを楽しむため🎲

あるいはもちろんカネを稼ぐため。あるいは自分が他者と違う非凡な人間であることを証明するため。

いずれも賭けられているのはカネやモノならぬ自分自身ということになりそう。


ギャンブルの必勝法はとどのつまり「捨てる」こと。そんな主人公が絶対に捨てないことは果たして何か。

風変わりであってもこれも一つの青春群像。その意味で読後感は👇に似ているところがありました。



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