前回……じゃなくて前々回か。👇の本を紹介したとき金子勝の「平成経済 衰退の本質」を紹介すると公約してました

というわけで金子勝著「平成経済 衰退の本質」岩波新書より


「今だけカネだけ自分だけ なぜ、こんな世の中になってしまったのか」のキャッチフレーズとともに添えられたシャッター街の写真。それが平成の経済ということでしょうか

平成という時代はバブル崩壊から始まり、不良債権処理の失敗によって長期停滞を招いた「失われた30年」だというのが作者の総括

バブル発生→崩壊→不良債権の発生→不良債権処理の失敗→金融緩和と構造改革→バブル発生のサイクルが平成経済の本質
不良債権を処理できないまま再びバブルを発生させ、帳簿上は債権を資産に付け変えるゴマカシの結果、実体経済は衰退するがまま。それを「バブル循環」と呼びます。しかも発生するバブルはだんだん小さいものとなりつつあるとも


アベノミクスで「異次元緩和」に手を染めた日銀は、もう次のバブル崩壊で打つ手がないとは前述の「日本銀行『失敗の本質』」と一致する指摘です

ここまで事態が深刻化したのは資本主義の行き詰まり・エネルギー転換という世界的な現象が原因というのが一点

もう一つは日本繁栄の推進力だったキャッチアップ型の政治経済体制が時代遅れになってしまったこと。今まで手本だった欧米に「追いついた」ことが皮肉にも足枷になってしまったという点
安倍政権は欧米にともかくも表層だけは追いついたという日本の驕りの象徴かもしれません

巻末に日本再生のための6つの処方箋が掲載されていますが、それは一つでも実現することが難しそうなものばかり。しかも長い時間がかかるとも

アベノミクスは始まりでもなく終わりでもなく「終わりの始まり」。希望はあるにせよ、先の歩みの困難さを思わずにはいられません