またタイトルのすごい本を読んでしまった。佐高信・朝堂院大覚著「日本を売る本当に悪いやつら」講談社+α新書。


ケントギルバートや上念司らの著書もある講談社+α新書ですが、ここで言う「日本を売る本当に悪いやつら」とは右派政権。ま、一種の逆説ですね。

著者の一人、佐高信は左派系の経済評論家として既にテレビなどでもお馴染みですが、朝堂院大覚とは……。

朝堂院大覚、本名は松浦良右。現代の肩書きはYouTuberになってたりしますが、1940年生まれ。空調設備工事会社ナミレイの会長。武道家。そして何よりも、政財界を裏で操る日本の……黒幕😱
その黒幕が政財界の闇を(真偽定かならぬ部分も含めて)語り尽くします。といっても暴露物というほどの深刻さはなく、軽い読み物くらいな感覚で読むのが良さそうですが。


黒幕稼業に必要なのはカネと人脈と、オモテからでは見えない国内外のウラ情報。ビジネスを利用して得たカネと人脈と情報を駆使しフィクサーとして駆け上がります。そしてフィクサーとして得たカネと人脈と情報がまたビジネスを肥え太らせる……。

フィクサーとして第一次の全盛期はバブル期からリーマンショックの辺りだったようで、その頃の政財界スキャンダルの暴露が中心になります。
竹下金屏風事件の内幕や、石原慎太郎・後藤田正晴との関係、興味深くはありますが過去の話という側面も強く。佐高信の他の著書とダブル部分も多いかも。

第二次絶頂期は現代か、日大田中理事長の黒い人脈や神社本庁の腐敗などの話も出てきます。再び黒いカネがどこかで回り始めたのでしょうか。どこまでが本当で、どこからが与太話か。信じるか信じないかはあなた次第の世界。

朝堂院大覚氏、ビジネスの経験も長かったからか思想的には右翼というよりはネオリベラルに近いよう。評価する政治家は橋下徹。ただし松井一郎は評価せず。
それなのに安倍・小泉両首相の評価が低いのが不思議ですが、世襲+縁故主義の両政治家はネオリベ以下ということかもしれません。

ヤクザとの関係をちらつかせつつ、旧社会党(ダーティー派?)の政治家をカネや情報面で世話していたことを明かします。55年体制は小選挙区制を待たずに崩壊していたと言えるかも。
すでにスポーツ利権は森元首相に握られ、2020年東京オリンピックは開催できないという不気味な予言も。

本書を読んでの感想をまとめるうちに

   ウラのウラから オモテを見れば
      オモテにならず またもウラ

という都々逸ができました。