読書日記。講談社学術文庫「スキタイと匈奴 遊牧の文明」林俊雄著。

いや待て。表紙の石人。どう見てもスマホ持っているでしょ😆

本来、都市から発生するとみなされがちな「文明」が、遊牧生活からもあり得たかという雄大なテーマ。
文字を持たないスキタイは考古学、記録が豊富な匈奴は文献学からの考察が主になります。双方ともデータは豊富。


ただ西洋史がわからないのでスキタイの記述はやや苦痛。後半、内容が匈奴のものになるとスルスル読めました。多分これ人によって逆パターンもありそう。

遊牧と交易、それから奴隷?を駆使した農業。意外に多様な生活様式と人種。寛容ともいえるが、それは絶えざる戦争と裏腹ともいえる。それを文明といえば確かに文明である。

もともと定住生活があって、都市の拡大に従って外縁が遊牧化したという歴史的経緯は本書で初めて知った。

遊牧民族の話は地図のスケールがでかく、クラクラしてくる。多分そこが本書の一番の魅力。