本は図書館で借りました。


タイトルで想像したよりはるかにスケールの大きい話だった。新書の割には情報量が多い。

まずはサンタクロースの民俗学的考察から。特に来訪神とも絡めて日本のナマハゲから世界各地の〈鬼神〉たちとの交流。

次にサンタクロースがいかにして現在の赤い服を着た陽気なおじいさんの姿になったか。サンタクロースとコカコーラ。それからディズニー。サンタクロースはアメリカそのものでもある。

さらに日本ではいつ頃からクリスマスを祝うようになったのか。サザエさんや週刊誌などの記録からたどります。クリスマス準備が女性の仕事とみなされがちなことから、日本の家族像についても若干批判を交えている。


と、まあ、そこまではわかるのだが、そこから一気に話がフィンランドへ飛ぶと、そこで書かれるのはクリスマスから見える世界の政治。こういうところが岩波書店。

フィンランドの少数民族サーミの現在。サンタクロースは現在サーミの土地に住んでいるとされるが、その観光資源を巡る差別と改善への動き。
アナ雪の重要登場人物クリストフがこのサーミであるとされるのは有名なのかどうか。
参考↓

そして平和のシンボル・サンタクロースというイメージを巡って、繰り広げられるフィンランドというか北欧諸国のしたたかで苦渋に満ちた外交政策。サンタクロースから現在の国際情勢が見えてくる。

ここまでスケールの大きい読書になるとは思わなかった。ただ冬の軽い読書を求めただけだったのに。でも、それが読書でもある。

間違いなく勉強になって楽しい一冊。オススメ度は高いですよ😊