発達障害の児は6%くらいいて最近増えていると前回書きました。

専門としていなくても外来で相談を受けることが多く、書籍や講演会で知識を得るようにしています。しばしば診断のし過ぎでは思うことがあります。

 以前、極度のはずがしがり屋で人の目を見られず発語の少ない子がいました。小学校で担任の先生に「自閉症だから病院に行くように。」と言われたと母親と受診されました。幼稚園のころに入院したことがあり、慣れるまでに時間がかかりましたが、慣れるとよく笑ってくれる子であったのを覚えていたので「ありえない。自分とこんなにコミュニケーションをとれるんだから大丈夫。相性が悪いだけ。ほっとけ。」と乱暴にいって、お母さんは少し安心、でも100%は信じきれない感じでした。その後日々の様子を聞ききながら通院していただき、進級し担任がベテランの先生に変わったら「こんなものでしょう。」といわれ別に気にされなかったといってお母さんに外来で泣かれたことがありました。今は立派な中学生です!

 多動、コミュニケーションがとりにくい、複数のことに同時に対応しにくい、興味のかたより、感覚の過敏など様々なタイプのこどもがいます。

以前昭和大学の田角勝先生に困った子ではなく”困っている子”なんだよと教えていただき衝撃を受けました。本人は理解しようとしている、でも理解しきれなくて解決方法が分からなくパニックになる。パニックになりたくないから別の行動を起こす。それがたまたま私たちの対応の仕方が違うので「発達障害」と診断されてしまうのではないかと考えています。


もちろん軽度から重度までさまざまなこどもがいますが、困っているのはこどもだと思って接すると受け入れやすいように思います。そのためしつけを放棄した保護者をみるとつい強くいってしまうことがあります。ごめんなさい。

多動なこどもの中に五感が過敏な子がいます。公共の場が苦手だというのでイヤホンをして音楽を聴いているふりをしたらと勧めたことがあります。これはかなり効果がありました。失敗は後日授業中にもイヤホンをし、教師に怒られたといわれ、返答に困りました。

いわゆるおとなしすぎる全く困らないこどもも発達障害の可能性があります。2年生の女子児童で成績がよくないと相談をされましたが、「成績以外困っていなければ、生活が困らなければいいんじゃない。」と答え、母親の心配が強かったので児童精神科に紹介したところ発達障害と診断をされ、療育を始めますとお返事をいただいたことがあります。  自分で考えて自分で説明する、動く訓練をしているとのちに聞きました。安易に返事をしてはいけないと落ち込みました。

成人のひきこもりや精神疾患の中に小児期からの発達障害が含まれることがわかっています。こどもが何に困っているかを早く見つけて早期訓練が必要です。まず誰かに、かかりつけ医でも養護教諭でも保健師にでも相談をしてこどもへの働きかけを始めましょう。