便秘

便秘で困っているこどもが増えており学童の6-30%位に便秘があるという報告があります。

人間が初めて知る快感、それは排便である」と有名な精神分析家フロイトは言ったそうです。こどもは大量に便が出た後は穏やかになる感じがしませんか。逆に便が出なくて困っているのが便秘です。

便秘とは便が溜まった、または出にくい状態で、便秘症は便秘で腹痛や腹部膨満など症状が出て治療の対象となるものです。

便秘のとらえ方は人それぞれで排便回数だけでは表わせません。慢性の便秘症の診断基準というものがあって、排便が週2回以下、おむつが外れたのに便失禁が週1回、大量の便の貯留、排便時の痛みなどです。

便秘は乳児では母乳から人工乳への移行期、離乳食開始時期に、幼児期以降ではではトイレトレーニングや集団生活の時期になりやすいといわれています。

 

 母乳栄養児では腸内細菌はビフィズス菌が多くなっており、人工乳や離乳食の開始により腸内環境が変化し便が出にくくなることがあります。年長児でも腸内環境を整えることは大事で、食物繊維、発酵食品、オリゴ糖などがよいとされています。

 

 トイレトレーニングのときにはトイレや排便に悪いイジメージをもつと失敗しやすいと言われています。トイレでできなくても、汚してしまっても叱らないようにしてあげてください。できたことを褒めてあげてください。また排尿は自立したのに排便の自立が遅れる場合には便秘のサインかもしれません。腹圧を上手にかけることができずに排便できないこどももいます。足台があった方が腹圧をかけやすくなり、また補助便座よりオマルの方が上手にできるこどももいます。

 

 集団生活にはいったことがきっかけで便秘になることがよくあります。成人でも旅行中など生活リズムがかわるだけで便秘になることがあります。今までは、自分がしたい時に排便できていたものの、集団生活にはいると、したいときにできなくなり、また周りの友達に知られると恥ずかしいという思いから、うんちをしたくても我慢してしまい便秘になってしまいます。そのためには子供が便意をがまんしなくてすむよう、トイレに行きやすい環境をつくることがひつようです。各地の学校で「和式から洋式に」「照明を明るく」「男子トイレ完全個室化」「擬音装置設置」などハード面の取り組みが行われ始めています。

また今後は「うんちをすること、排便することは体のために大切で、決して恥ずかしいことではない行動なんだ」という意識教育も必要ではないかと思います。こどもたちは本来“○んこ”といったりするのは好きですから流行った“うんこドリル”などでそれに対する嫌悪感を和らげられたらいいなと思っています。

 

 

便秘症

便秘は排便が週に2回以下、痛みを伴う硬い便通、便失禁、便の貯留、トイレが詰まるくらいの大量の排便などがあると診断されます。硬い便は注意です。おとなは硬い便で疼痛があっても我慢して頑張って排便しますが、こどもは痛みのために排便を怖がってしなくなり、さらに便秘傾向になるという悪循環になりやすいです。また通常は便が直腸にたまると便意を感じますが、常に硬い便が直腸にあるようになると便意を感じにくくなるという悪循環もあります。

そのためこどもの“便秘のサイン”を見逃さないようにしましょう。

コロコロした便が少量しか出ない、硬いゴツゴツした大きな塊の便が出る、立って足をクロスさせて便を我慢するような姿勢をとる、排便時に苦しそうだったり痛そうだったり、お腹が張るなどです。またパンツがよく便で汚れている、肛門の前にひだができているというのも便秘のサインかもしれません。

 

 

家庭でできる便秘対策

       便意を感じたら排便を我慢せずにトイレに行くように指導する

       便の状態をチェック

   排便があったかどうかだけでなく、排便時容易く出たか、辛そうだったかなどの様子やかかった時間、便の状態も確認します。

       規則正しい生活をする

  朝は早めに起きて朝食をとり、朝食後に必ずトイレに行く習慣をつけましょう。

  ガイドラインは”朝に”と書かれています。しかしどうしても朝に時間が取れないこどもは、夕食後にゆっくりトイレに座る時間を設けることで  規則正しい排便の習慣を得られることもあります。

       体をつかう遊びをたっぷりと

  体を動かすと腸が刺激されて活発に動くようになるため、便意が起こりやすくなります。

       水分補給をこまめに

  脱水になると便が硬くなり出にくくなります。過剰な発汗による水分不足汗に注意しましょう。

       食事摂取量もしっかりと

  ダイエットなどで食事摂取量が減ると便秘になりやすくなります。

       食物繊維をしっかりとる

  食物繊維には腸の動きを活発にし、腸内環境を整える働きがあるため、便秘の予防・改善に有効です。

  食物繊維が豊富な食材は海藻や大豆類、豆類、なめこなどきのこ類、こんにゃく、芋類、ゴボウなどの野菜・果物などです。

       発酵食品をとりましょう。

       乳酸菌(ヨーグルトや乳酸菌飲料)、オリゴ糖も有効です。

       マグネシウムをとりましょう

     マグネシウムは腸管内の水分を保持する作用があります。ミネラルウォーターの硬水にはマグネシウムなどのミネラルが多く含まれているため、硬水を飲む便を柔らかくしてくれます。

⑪  トイレトレーニングは焦らずに、叱らずに、褒めて進めよう

失敗して叱られた、汚して怒られたなどの経験が排便をがまんする原因となる可能性があります。

 

こんな時には小児科受診を!

体重が増えない、体重が減る。嘔吐を繰り返す。便に血液の混入。下痢と便秘を繰り返す。腹部膨満(おなかが張れている)などは早めに受診。

3日以上排便がない、排便時に嫌がる。

トイレトーニングはうまく進まない。特に排尿は自立したのに排便はおむつじゃないとという場合。

足をクロスさせて便を我慢するポーズをよくとる。