■ ■ Windows8について
はじめに
2012年10月26日に、Microsoft社よりWindows8が発売されました。
タブレットPCやスマートフォンの分野では、AppleのiPadやgoogleのAndroidに1歩どころか、
10歩先を行かれていた、Microsoftが満を持して出したのがWindows8ですが、今までのOSとどこが違うのか、
また、開発するにあたって、どのような事が変わったかを説明致します。
■Windows8を語る前に。
Windows8/PRO/EnterPrise/RT版※の4エディションがある。
<システム要件>
・32 ビット
プロセッサー : 1.0 GHz 以上
物理メモリー : 1 GB 以上
グラフィック : WDDM?1.0 以上の対応ドライバが提供されている DirectX 9.0 以上
の GPU
HDD 空き容量 : 16 GB 以上
・64 ビット
プロセッサー : 1.0 GHz 以上
物理メモリー : 2 GB 以上
グラフィック : WDDM?1.0 以上の対応ドライバが提供されている DirectX 9.0 以上
の GPU
HDD 空き容量 : 20 GB 以上
※タブレット端末のみインストールされる。また、端末にプレインストールされた形での配 布になるため、単体での販売は行われない。
■ ■
■ ■大きく変わったこと
深化?進化?を遂げた??Widows8ですが、私の主観で注目すべき機能を少し掘り下げて説明致します。
①インターフェース
・モダンUIモード
地下鉄の案内板や標識をヒントに、分かりやすさを前面に出しカラフルな正方形や長方形の タイルを並べた画面となり、タッチパネルを前提としたインターフェースとなる。
また、iOSやandroidと同様にアプリ専用ストアにてアプリを購入し操作を行う。
一般的にはタブレット端末には、WindowsRT版がインストールされており、モダンUIのみ
使用可能となる。
(余談)以前はメトロUIと呼ばれていたが、いつの間にかモダンUIに名称が変更された。
・デスクトップモード
今までと同じ操作が提供されている。ただし、Windows7まで存在していた「スタートボタ
ン(スタートメニュー)」がが存在しない。なお、モダンUIとの表示の切り替えが可能とな
る。
WindowsRT版以外のエディションで使用可
②セキュリティについて
・Windows Defenderの強化
これまでの Windows Defender は、アドウェアやスパイウェアに特化していましたが、
Windows 8 に搭載された Windows Defender では、アドウェア、スパイウェアだけでは
なく、ウイルスなどのその他のマルウェアへの対策が可能となり、Microsoft Security
Essentials と同等の機能を有したマルウェア対策ソフトとして動作する。
-自動更新機能
定義ファイルの有効期限が切れている場合やマルウェア対策ソフトウェア自体が無効化さ
れているなどで有効に稼働していない状態が続いた場合、14 日目までは、マルウェア対策
ソフトウェアの設定見直しや Windows Store での購入を促す警告が表示されますが、
それでも対処が行われない場合は、15 日目に
Windows Defender が自動で有効化される。
③Hyper-V
本機能を使用するにあたり、下記の条件がありますが、クライアントOS(※)上で仮想環境が使用出来るようになった。
※Windows 2008のみ使用可能だった。
(条件)
・x64版 Windows8 Pro / Enterprise
・ハードウェア仮想化支援機能(Intel VTまたはAMD-V)を搭載した64ビットプロセッサ
・ハードウェア強制データ実行防止
(Hardware-enforced Data Execution Protection)
・SLAT(Second Level Address Translation:第2レベルアドレス変換拡張)対応の
プロセッサ
・4GB以上の物理メモリ(推奨)
・1つ以上の有線または無線ネットワークアダプター
④ファイル操作
-コピー貼り付けが一時停止可能
ファイルコピーや移動、削除などを一元して扱うことができるようなった。
Windows7までの仕様では複数のフォルダやファイルを移動させた場合、その数だけポップ
アップウィンドウが開いていたが、Windows 8からは一つのウィンドウに複数のファイル
移動の進捗状況が表示されるようになった。
さらに、コピー中の状態を詳細表示するとこのようになり、毎秒何メガバイトなのか、
残り何分なのか速度のグラフが表示されるようになった。
-ファイル名競合時にサムネイルでの確認。
ファイル名が重複していた場合には、移動先と移動元のファイルをサムネイル一覧で確認し、
上書きや削除の指示を下せるようになった。
■ ■
■ ■開発環境におけるWindows8
一般的な新機能は上で述べましたが、我々開発者が注目すべき点は、Windows8上での開発
であります。
簡単ではありますが、下記に開発について纏めてみました。
・Windows8の2つのインターフェースはAPIが別々。
以下の図の通り、Windowsのアプリケーションを開発するうえで、モダンUI上で実行させ
るのか、デスクトップで実行させるのかによって、開発の手順が異なります。
-モダンUI実行系
モダンUI上で実行するアプリケーションにはWinRT(Windows RunTime)というフレー
ムワークが用意されている。
このWinRTはWindows8と同時に発表された新しいものである。
本質的にCOMのAPIであり、様々な言語からインターフェースを結ぶことを可能とし、
Windows8の"ほぼ"すべての機能を提供できる。
-デスクトップ実行系
一方でデスクトップ(モード)上で実行するアプリケーションは従来のWindowsと同様
にWin32APIを使用しアプリケーションを作成する。
>>Windows8 アーキテクチャ<<

具体的には、これまでのアプリケーションでは、
・HTMLやJavaScriptでIEのアプリケーション開発。
・C/C++でWinAPIの開発。
・C#やVBで.NetやSilverlightの開発。
と、アプリケーションや用途に合わせて、言語を使い分けなければならなかったが、
WinRTではAPIの機能をオブジェクトとして実現しており、これを各言語環境に合わせて
変換して提供している。
>>詳細<<

(参考)
WinRT APIリファレンス
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/windows/apps/br211377.aspx
・開発ライセンスついて
Modern Style アプリケーションは、原則としてWindows Storeを通じて配布/販売さ
れる。AppleのApp Storeと同様の形式となりますが、アップルが禁止しているアプリ内
課金が許可されている。
作成したアプリをStoreにリリースするためには、開発者ライセンスが必要となり、
Visual Studio 2012上にて開発者ライセンスを取得する。
・ストアへの登録
なお、作成したアプリをWindows Storeへ登録するにはMicrosoftによる審査を通過す
る必要がある。登録が拒否された場合は、アプリ開発者に対してフィードバックをし、
開発者は問題に素早く対応することができ、修正したアプリを素早く再登録可能となる。
Windows Storeに開発者アカウントを作成するには、個人の場合49ドル、法人の場合は
99ドルの登録料を支払う。
アプリが売れれば、開発者は売り上げの70%を受け取ることができる。もし、売り上げが
25,000ドル上回った場合、80%を受け取ることができる
■ ■
■ ■個人的に思うこと。
発売日、早々に購入して、早々にインストールした1ユーザーとしての感想は、
慣れてしまえば、非常に使いやすいOSだと思っています。
電源を入れてからの起動速度やアプリケーションの立ち上がりの軽快さが、Windows7より圧
倒的に早く、ストレスを全く感じる事があまりありません。
また、モダンUIとデスクトップモードの使い分けも慣れてしまえば何ともありません。
多くの人に、スタートボタンが無い事で、駄作として烙印を押されてしまいがちですが、
個人的には、優秀なOSだと思っています。ただし慣れるまでがちょっとクセ者ですが。。。
触ったことの無い方は、ぜひ一度CP版(無料のConsumer Preview版)を入れてみてはいか
がでしょうか。