PPT プレゼン資料向きのフォントとは
プレゼン資料向きのフォントとは
プレゼン資料のフォントを選ぶうえで押さえておきたいポイントは、端的に言うと「再現性」と「視認性」です。
ここでいう再現性とは、資料を作成した本人のパソコン以外でも安定して同じ見た目を表示できることを指します。プレゼン資料は社内はもちろんパートナーや顧客に送付することがありますし、また講演・セミナーでは会場にあらかじめ用意されたパソコンを使うケースもあるでしょう。そのため資料を出力する環境によって見た目が変わるようなことはくれぐれも避けねばなりません。プレゼンツールは自身が動作するコンピューターの”中”のフォントを利用するのが原則ですから、つまりここではあらゆる環境にインストールされているフォントを選択する、というのがひとつの指針になってきます。
続いて二点目の視認性について。こちらは見やすく、読み取りやすい文字を使うということです。プレゼン資料はA4サイズの印刷用紙から、ときには大規模な会場のプロジェクター投影まで再現環境の幅広い、ある意味過酷な状況下で利用される文書です。ゆえに極端に細い文字や太い文字、また変形がかかった文字はかすれたり、つぶれて見にくくなってしまうため、あまりおすすめできません。また多忙な顧客に短時間でプレゼンの内容を伝えるなら、一目でぱっと読み取りやすい、クセの少ないオーソドックスな書体を使用するのが手堅いと言えるでしょう。
当記事ではこれらの視点を考慮し、プレゼン資料を伝わりやすくするうえでおすすめのフォントとそれにまつわる基礎知識を紹介します。
メイリオ
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メイリオは、スクリーン上で美しく表示できること、またヨコ組が読みやすく欧文との混植に適していることをコンセプトに、米マイクロソフトが開発した和文ゴシック体です。横長でふところの広い字形は現代的で明るい印象を与え、ベタ組みでも読みやすい版面を形成するのに役立っています。Windows VISTA以降のWindowsオペレーティングシステムに標準搭載されており、現在(当記事執筆時点)マイクロソフト社がサポートを提供するOffice環境で安心して利用できる書体です。
なお、メイリオのように字面が大きく、ふところの広いゴシック体には、モリサワの「新ゴ」やSCREENホールディングスの「ヒラギノ角ゴシック体」などがありますが、これらはその視認性・判読性が評価され、鉄道のサインシステムや高速道路の案内標識に採用されており、このことからもメイリオはプレゼン資料と相性の良い(ぱっとひと目で認識でき、遠目に読み取りやすい)フォントといって良いでしょう。
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上記は「メイリオ」と「UD新ゴ」「ヒラギノ角ゴシック」「游ゴシック」「MS Pゴシック」を同一のサイズで比較したもの。メイリオから游ゴシックに向かうにつれ、文字そのものの大きさ(字面)やふところ(文字の内側にできる空間)が小さく・狭くなっていることがわかります。
レギュラーとボールドのコントラストが利いており、メリハリのあるスライドがつくりやすい
もうひとつメイリオの魅力として、レギュラーとボールド(太字)のコントラスト(太さの差)が挙げられます。以下の図を見ると、Windowsで古くから利用されている「MS Pゴシック」では、レギュラーとボールドの違いがあまり感じられませんが(厳密には、MS Pゴシックにウェイトの展開は無く、普通の状態をプログラムで太くしています)、メイリオではその差がしっかりと見て取れます。また、Windows8.1から搭載された「游ゴシック」ではさらにコントラストがしっかり感じ取れるもののレギュラーウェイトがやや細く、プレゼンの状況によってはかすれて見えにくくなってしまうことがあるかもしれません。表情豊かなスライド作りができ、かつさまざまな環境(パソコンのモニター/印刷/プロジェクター投影…)での利用に耐えうるバランスも、プレゼン資料のフォントを選ぶうえで大切なポイントです。
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メイリオを要素の上下中央に配置するには、上下の余白の調整が必要
プレゼン資料のフォントとして非常に優秀なメイリオですが、ひとつ注意点として〈下方マージンの広さ〉を押さえておく必要があります。皆さんは四角形や円など要素の上下中央にメイリオを配置した際、なぜか少し上寄りにずれて表示された経験はありませんか? これはもちろんプレゼンツールの不具合などではなく、メイリオの「下方に広い余白を取っている」というフォントそのものの仕様によるものです。
そのためメイリオを要素の上下中央ぴったりに配置するには、要素の余白設定を少し調節する必要があります。具体的には〈内部の余白(下方)を少なめ〉に設定すると、メイリオをキレイに要素の中心に配置することができますよ。
メイリオを上下中央配置する際の余白設定の例(PowerPointの場合)
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なぜメイリオは上にズレるのか? パワポでメイリオをキレイに上下中央配置するコツ
プレゼン資料の定番フォントともいえる「メイリオ」。しかしメイリオは、図形の中に配置すると上にズレて表示されるクセがあり、扱いに少し手間取る側面も持っています。メイリオをパワポでうまく上下中央配置するコツを紹介します!