民主主義とは多数による支配システムのことではありません。
少数による多数の支配システムです。
例えば、民主主義とは選挙を介して政治を決める手法をとっていますが、
日本の投票率は、国政選挙でもせいぜい60%程度です。
単純計算で言えば、その5割を取れば政権が取れるということになります。
つまり、選挙人(成人)全体の3割の支持を勝ち取ればいいわけです。
こうなると、政治家にとって大事なのは、
投票率の高い年齢層に有利な政策を取ろうとし、
それらの年齢層に自分に投票してもらおうとします。
私が政治家なら、若年層を考えた政策より、
高齢層を考えた政策を取ろうとします。
少子化の政策より、年金の安定給付などです。
しかし、それは仕方がないのです。
なぜなら、それが民主主義だからです。
選挙にいかないような人間の意見や要望など受け入れられないのが民主主義です。
民主主義とは利益集団と利益集団の戦いのシステムであり、
それらの権益が主張するものの妥協の上に成り立つものなのです。
もしそれが嫌なら、独裁を選ぶべきでしょう。(私はごめんですけど)
民主主義で危ういのは、「わかりやすさ」に全体が走ることです。
民主主義とはあらゆる権益が絡み合う複雑なシステムであり、
だからこそ時間も労力もかかるシステムですが、
今の日本のようにデフレで閉塞感が充満している中では、
国民は「わかりやすさ」に走り、「改革」の名のもとに己の手で民主主義を破壊します。
それが、1930年代のナチズムであり、ファシズムであります。
民主主義は複雑であり、あらゆる利益集団が牽制し合うからこそ、
それらがストッパーとなり、「最悪」を防いでくれます。
それを忘れ去ったとき、日本は取り返しのつかない状態になってしまいます。
民主主義では、簡単に社会を変えられないかもしれませんが、
しかし、選挙にいかなければそのチャンスもなくなるということです。