東京に住んでいた方が地方都市に移転するなら、それまでより安い物件を買うことができるにもかかわらず、元の物件に支払ったのと同じような金額で物件を購入する傾向があります。
この場合、もっと大きな(高級な)家になりますね。
一方、地方都市から東京に移るときには、広さや質が落ちるのは我慢して、それまで支払っていたのと同じくらいの金額を支払うことになるようです。
要するに、今住んでいる場所の価格相場に慣れていると、その感覚が残ってしまい、新しい物件選びに元の物件価格がアンカーになってしまうのです。
また、住まいには何らかの地縁がある地域を選択する傾向があることは経験則的に知られています。
対象地域を広げれば、より良い選択ができる場合もあるにもかかわらず、そのような選択になるのは、やはりアンカリング効果が働いているためですね。
さらにアンカリングで重要なことは、アンカーとなる最初の数値は、自分自身で選択するのはもろろん、外部によって与えられることもあると言うことです。
特定の物件について、高い表示価格と低い価格のいずれかを示して、複数の不動産業者にその物件評価額を見積もってもらうという実験がありました。
すると、高い価格を示された不動産業者の評価額は高く、低い価格の場合、評価額も低いようです。
最初の価格がアンカーとなって、専門家でもそれに引きずられる傾向があるのです。
このことから、買いたいときは低い価格を、売りたいときは高い価格を「最初に」提示して、それを互いの交渉のアンカーにするのが有利だと思われます。