吉田修一さん作家生活20周年記念渾身の大作 国宝 読了。
任侠の一門に生まれながらも、この世ならざる美貌を持つ
立花喜久雄が歌舞伎の女形として
数々の挫折、失意、屈辱、裏切り、友情、栄光、の中で
狂気とも言える芸への執着の果て
頂点へと上りつめる絢爛な物語です。
読み始めの冒頭から、私の頭には物語の映像が浮んだんです。
主人公の喜久雄登場は14歳・・にしては、やけに大人びて艶っぽい!
14歳で、特定の(おんな)がいるんですよ
早熟で魅力満載の喜久雄の細やかな心情が
吉田修一さんの独特の語り口で物語は進みます。
私の脳内の喜久雄は・・・ですね、林遣都さん!
冒頭の登場は14歳、余興とはいえ
歌舞伎舞踊、積恋雪関扉、の女形、墨染、を踊るんです!
14歳?歌舞伎?女形?・・・林遣都?と・・皆さまは思われることでしょうね。
どちらかとかと言えば洋風な面差し、がっしりではないけど最近は男性的な体格・・・ですが
数々の作品で、体型も仕草も声も顔つきも佇まいもまるで別人だった林遣都なら・・・
時代ものは銀二貫で見事な演技を見せてくれたし
(松吉は14歳〜33歳を演じました)
舞台・熱帯樹での鬼気迫る演技と、そのインタビューで見せた役に挑む姿勢
白くて美しい容姿だし(女形の目の下まわりの紅をさす化粧が似合いそう)
踊りは、持ち前の集中力と努力で習得してくれるでしょう。
何より、その役を纏ってしまう演技力!!!
喜久雄は、多くを語らない・・その表情、目の動き、背中、手、
で心情を魅せなければなりません。
そして高い身体能力を必要とするアクション。
狂気をはらんだクライマックスのあのラストシーンを林遣都で
個人的な願望です。