熱帯樹の激しいチケット争奪戦の末、唯一入手出来たのが東海市芸術劇場大ホールで上演される
大千秋楽の熱帯樹のチケット。
狭いトラムで観たかったけれど、大千秋楽だしラッキーかも!
初めての劇場。綺麗で洒落ていて入場して先ずは満足。
満員の客席は今日が最後、演者の一挙手一投足も見逃さないぞ、という
張り詰めた緊張感に包まれていました。
舞台上が暗くなり・・さあ、開幕。
三島作品独特の美しくて難解なセリフ回しに耳をダンボにし
演者の細やかな動き、複雑な表情、仕草のひとつも見逃すまいと身体中の神経を集中しましたわ。
黒を基調とした舞台で繰り広げられる秋の1日の家族・・と言うより おとこ と おんな の愛憎劇。
注目の林遣都さんは、まさに三島好みの美しくて朧げで、この勇という役は彼しか無いなと思いました。
セリフが、いっとう少ないのですが天賦の容姿と声と、類まれな美しい瞳の表現で圧倒的な存在感がありました。
お母様と妹との耽美な愛に翻弄さあれる情けないお兄様なんですけど
あんな激しいお母様と妹に抱きしめられたら・・ああなりますわ。
特にお母様との関係性に越えてはいけない川を越えてしまっている苦悩と喜びと憎しみと・・・それから、それから・・とにかく色々・・
もれ出てしまっていました。く、くるしい・・・
シルエットや身体が半分しか見えない場面の心の叫び、苦悩の表現に気持ちがザワッとしました。
まだまだ、感じた事は両手に余るほどありますが・・もう、言葉になりません。
最後のシーンが静かに終わって 暗くなる舞台。
スーッと暗くなり数秒・・割れんばかりの観客すべての気持ちが一つになった拍手!
カーテンコール
2回目からはスタンディングオーベイション
3回目のスタオベで客席からの(ありがとう!)の声
4回目のスタオベの時、一瞬 何か一言聞けるかも?の雰囲気になってピタリと静かになる客席・・でしたが勇は一瞬ビクッとして・・満面の笑顔になって深〜いお辞儀でしたわ。
5回目のスタオベの時も、そんな雰囲気を客席が作りそうになったので
慌ててお辞儀なさいました。
演者の皆様と客席の呼吸がピタリと合ったような素晴らしいひと時でした。
5人の俳優陣の素晴らしさはもとより観客の皆様も一流でした。