ハリスツイードとの因縁
冬だけ使っているハリスツイードの財布。
4年前に近所のセレクトショップで出会って、
「うお! あのツイードが!!」
と驚きのけぞって衝動買いしてから、現在は2代目。
のけぞるくらい大好きな生地ブランド
ハリスツイードとの因縁の話し。
私が10代の頃、
大好きだったアメリカの俳優、
「ジェームズ・ディーン」
団塊世代がど真ん中ストレートだと思うが、
(1955年、24歳で没)
私は当時ジーンズのCMなどで
使われていた彼の姿を見て、
「この世にこんなにかっこいい人間がいるのか?」
と度肝を抜かれて以来、
エデンの東
理由なき反抗
など、ほぼすべての映画をコンプリート。
基本的に彼のイメージは
ラフなジーンズ姿
なのだが、
GIANT
という映画でスーツを着用、
そのジャケット姿もめちゃくちゃかっこよく、
あれこれと探しているうちに行き着いたのが、
ハリスツイード
だった。
多分、彼が着ていたのは
ハリスツイード生地ではないと思うが、
私の中では完全にツイードで脳内変換されている。
当時まだ高校生の私が制服以外の
ジャケットを羽織ることはなかったが、
密かに
「ジェームズ・ディーンのように
スーツをかっこよく着られる大人になってやる」
と思っていた。
同じく当時聴いていた
佐野元春
の有名な歌の歌詞に、
「ツイードのジャケット着こなして、
おしゃれなあの娘とフライデーナイト」
というくだりがあり、
私はそれで余計に
ツイード=かっこいい
が埋め込まれていた。
そして
その思いを分かりやすく形にできたのが、
「成人式」
まさしく大人を表現する絶好のタイミング。
私は、
肉体労働(家とかビルとか叩き壊してました)とバーテンダーの
ツインバイト
で稼いだお金を突っ込んで、
何年もの思いを詰め込んだ
ツイード生地の
グレーのスリーピーススーツをフルオーダー。
タイトな仕上がりでイメージ通り。
私にとっては
大人になった自分への最高のご褒美
だった。
満を持して臨んだ成人式。
私の満足度とは裏腹に、
友人たちからは
「なんかお前、オッサンくさくね?」
とか
「え?」
とか、
女友達からは
「ねえ、どうしたの?
どこに就職したの?(制服?)」
とか
「あんたのスーツ姿
期待してたのに、がっかりだわ…」
とか。。
私
「・・・・・・・・。。。」
「どうして??泣」
見事に撃沈したのです。
他人に認めてもらいたくて
着ていたわけではないものの、
あまりにも分かりやすいくらい不評で、
さすがに凹みました。
それもそのはず。
当時は、
MCハマーとか
ボビー・ブラウンとか
ZOOとか、
ディスコ系ファッションが全盛で、
皆が着ていたのは
肩パッドが入った、
緑とか紫とかの緩めのダブルスーツ。
むしろ全員がハマー。。。苦笑
絶対的マジョリティ対絶対的マイノリティ
の戦いで、
私は
ハマー軍団とその仲間たち
に完膚なきまで叩きのめされたのです。(笑)
それが
一番のハリスツイードの思い出。
余談ですが、
私はダブルスーツもそれゆえ、一度も着たことはありません。
今後もきっと着ることも、袖を通すことすらないでしょう。
それは
理由ある反抗
だから。(笑)
あれから26年。
今は正々堂々とハリスツイードを持っています。
そして、
禁断のグレーのスーツも最近ではよく着ています。
「なんかお前、オッサンくさくね?」
とはもう誰も言えません。
だって
もはや立派なオッサンだから。
ジェームズ・ディーンにはなれなかったけれど。
ちなみにツイードは今は若者にも大人気ですね。
なんとも言えない不思議な因縁です。
でも良いものはよい。
流されずに生きていきます。
