長すぎる旅の記録 スリランカ東部 アゲイン
R.I.P
先日、この夏私がサーフィンしていたスリランカ東部の海岸沿いのラグーンで
英国人男性が野生のワニに襲われ殺されるという事件が発生した。
時は違えど、まさしく同じ場所を共有したものとして、心から冥福を祈りたい。
まさかまた行くことになるとは。
遠い異国。手つかずの自然。野生動物との共存。素晴らしい波。
スリランカ東部、アルガムベイへの旅。アゲイン。
長いのでマニア向け。
DAY1&2
12:00 成田発。まずはバンコクへ。
チェックイン時、ボードの追加チャージ60ドル徴収。
ボードの長さで変動、友人は120ドルも徴収され激しく悔しがっている。。
普段
「俺は勝ち組」
などとほざいているのだから120ドルくらい大したことないだろうに。
なぜ悔しがるのか??
今回私はレギュラーボード、大波用の2本持参。
本気で攻めるなら複数本は絶対必要。
16:30 (日本との時差マイナス2時間)
バンコク着
バンコクまでは日本人が多いが我々はここでトランジット。
コロンボ行きの便まで5時間半空港内でスタック。
長すぎて早くも心が折れそうになる。
ひたすらシンハービールと読書、時々無意味に歩く。
22:10
バンコク発 コロンボへ 約3時間半のフライト。
24:10
コロンボ着(日本との時差マイナス3時間半)
トランジット含め往路15時間。
すぐに円をルピーに換金。
出口でスリランカ人の友、
ジャヤさんと1年ぶりに再会。
今回も移動、ガイド、宿の手配すべてやってもらう。
帰国までずっと一緒だ。
1:00
大荷物を車に積み込み陸路でアルガムベイへ。
日本ではもう夜明けだ。
疲れを隠せないが前進する。。
空港のあるコロンボは島の西部に位置、
アルガムベイは東部にある。島の反対側へ。
移動時間10時間。
ここからが本番。
スリランカ人の運転は絶叫コースターに乗るようなもの。
クラクション攻撃、スピード過多、
反対車線に飛び出した2重追い越しなど当たり前。
遅い車を追い越しているその後ろからさらに別の車に追い越される。。苦笑
普通の路線バス(満員)が恐ろしいスピードで一般道を走っている国。。
これにダート、ジャングルが加わる。
常に前後左右に体が揺れる10時間。
大抵の人は絶対に酔うと思う。
または恐怖におののき二度と来るまいと心に誓うだろう…。
サーファーは海の中で常に揺れているので酔いには強い。
また、目的達成のためには手段を選ばない。
ある意味鍛え上げられている(笑)
寝ているのか寝ていないのか分からない中、
気が付けば夜が明けている。
8時頃、いきなり道端に像が現れる。
野生の像は大変危険だ。
これを避けながら前進する必要がある。
現地の人たちはこの危険エリアを通る際、
車に積んである果物を投げて
像の気をそらし全力で通り過ぎる。
途中、4頭の像に遭遇、
そのうちの1頭。
ヤバすぎる…。
幸い、人は無事。
横切ったと思った瞬間に後ろから一撃でやられたそうだ。
怖すぎる。。
皆が立ち往生する中、
大型車がやってきてクラクション鳴らしまくって
像が後ずさりしたすきに一気に駆け抜ける。
11:00
やっと到着。
成田出発から26時間半。。
ここはブラジルか…。
宿で荷ほどき。
時間が中途半端なので今日は夕方の1ラウンド狙い。
隣室のポルトガル人に聞くと、波は数日間ないらしい…。
ただし3~4日後には大きなうねりが見込めるとのこと。
波がないなら急ぐことはない。
蚊帳付きベッドと天井ファンだけの
無機質すぎる部屋で少しだけ体を休める。
13:00
暑いしやることもないので
あちこち波チェックしながら見て回ることに。
実際、どこもさほど波がない。。
でかい波が嫌いな友人は一気にやる気がでたようだ。苦笑
昨年もよい波をあてたOKANDAというポイントで入ることに。
波はショルダーサイズだけど、力があるので十分楽しめる。
何より水がぬるい。
温泉のようだ。
寝てないので、徐々に体を解放しないと壊れるので慎重に。
ウォームアップには十分だ。
2時間半程度で日が暮れる。
サイズが上がる事を期待したい。
帰り際、
事件発生。
暗闇から、2頭のバッファローがいきなり飛び出してきて1頭と衝突。
衝突の勢いで私は車内で激しく弾き飛ばされる。。
たぶん時速80キロくらいで衝突。
衝撃が半端ない。。
バッファローは黒いので、夜は見えない。
街灯などないので余計に見えない。
避けきれず。。車の前面が大きくへこむ。
すぐにチェック。幸いラジエーターは無事だ。
ただ、冷却水が結構漏れてくる。
これではエンジンが焼けてしまい走れない。。
どうする?来たばかり。
帰りも500キロあるぞ。
私もよく覚えていないが、
サンダルの緒が両足すべてもげている。
運動直後で各関節の可動域が拡がっていたため
無事だったと思われる。。
とりあえず宿に戻り、今後の動き方、車をどうするかをミーティング。
私たちの現地滞在期間は4日。
結論として、
ジャヤ氏には残り3日間で車修理店を探し、
帰れるだけの応急処置をしてもらう。
(冷却水の漏れだけ何としても止める。
ただしこんな田舎町に修理屋があるか不安)
私たちは移動手段を、車からトゥクトゥク(3輪タクシー)に変更し、
旅を続ける。
最悪は帰り道、大量の水を用意して
ラジエーター冷却液の代わりに注ぎ足しながら騙しだまし帰るしかない。
旅にアクシデントは付きものだ。
何があってもおかしくない。
そして何があってもくじけてはいけない。
鉄則だ。
ただ、いつも思うのだが。。
すべてを俺に決めさせるのはやめてくれ。。。
「YUJI,どうするんだ!」
いやいやいや、おいおいおい。。俺は知らないわ…。
ひどく落ち込むジャヤさん。
車は並行輸入のトヨタハイエース、
日本車は現地の貨幣価値では超高級車。
(スリランカの平均月収は25,000円~30,000円くらい)
「F●×K!」
を連発している…。
友よ。酒でも飲もうじゃないか。
無事であることにまずは感謝しよう。
23:00
就寝。長い2日が終わった。
DAY3
5:30 出発
ジャヤさんの知り合いのトゥクトゥクに迎えに来てもらい、
私たちはそのままOKANDAへ。
→THE スリランカンスタイル!
この辺りでは最も波のサイズが期待できる。
1時間くらいかけ移動するが、
料金も安いのでどこまで行っても安心。朝風が涼しい。
→ワニがいます。
到着し波チェック。
→この先がビーチ
昨日より波が上がっている!
私、地味にテンションが上がる。。
日に日に波が下がるより、
上がっていく方が、心も体も万全になる。
サルの軍団が押し寄せる。
こいつらは何でも持って行ってしまうのでやっかい。
ドライバーに荷物だけしっかり見張ってもらい、海へ。
基本的にドライバーは
私たちが海から上がるまで待っているのがルール。
ただし、やはりここは海外なので貴重品は持ち歩かない。
少額紙幣1枚のみポケットに。
我々がいる場所は、セキュリティなど一切約束されていない。
自らを守るのは自分自身。
波は十分すぎるくらい良い波。
結局欧州サーファー含め4人のみでほぼ貸し切り。
帰り道。
またしても像。
日中に出てくるのは珍しい。
密林に入り、像を追いかける。
少しの音でも像は敏感に反応するので忍び足で。
蚊やハエがたくさん。スリランカは
デング熱が大流行中。
モスキート対策は厳重に。
虫除けスプレーは必携。
(ディート成分30%の最強濃度スプレーが有効で、
日本で使うものはまるで役に立たないので要注意)
15:00
再度トゥクトゥクに迎えに来てもらい
Light Houseという新しく発見されたスポットへ。
もともとは近隣コテージのプライベートビーチだったようだ。
恐ろしいダートを走っていく。
こんな道、車では絶対に無理だ。
途中に小さな集落がある。
この場所で生きている人々がいる。世界は広い。。
波はショルダーサイズだが力があるので、
初心者がボードを離し接触事故多発。
欧州人同士でケンカになっていた。
風がいまいち合ってないが、無風ならかなり良い波だろう。
私の連れも初心者に轢かれて怒っていた。
それを見ていた私。
「ざまあ」と一言。。
21:00
夕食時。
ジャヤさんがスリランカのALAKという蒸留酒を持ってくる。
スリランカは宗教上(仏教)お酒を飲めるところが少ない。
飲食店でも置いていないので、別の場所で買って
(買える場所も限られていて、窓口は鉄格子で覆われている)、
店内持込み交渉をする。
ALAKはソーダで割るが強いので恐ろしく酔っぱらう。
甘口で飲みやすいが、飲みすぎると腰が抜ける。
車もまだ直らない私たち。
結局1本空けてしまう。。
修理屋を見つけたらしいがまるで直せなかったようだ。
明日また違う店に行くとのこと。
それを聞いた私。
ALAKをソーダでなくビールで割る無謀ぶりを発揮。苦笑
宿までの帰り道、
私たちはコントのようにフラフラになりながらよちよち歩き…(笑)
スリランカは同じく宗教上、派手に酔って騒ぐのはマナー違反。
なので小さく。(笑)
24:00
泥酔のスリランカ人を抱え部屋に投げ入れる。(笑)
熟睡。
DAY4
5:30
出発
今朝もトゥクトゥクで迷わずOKANDAへ。
いよいよサイズが上がってきた。
明日が最大の予報だが既に本領発揮。
波はオーバーヘッド。
見るからに力のありそうな本気の波。
既に4人のサーファーが沖にいる。
いよいよ私もエンジン全開。ものすごくいい波。
かなりのロングランが可能。
この旅で初めて日本人サーファーに出会う。
彼は生粋の日本人だが
オーストラリアのタスマニア島で
寿司職人をしているとのこと。
オージー妻と一緒に40日間ホリデーで滞在している。
日本人がそもそも珍しいため、
初めはお互いなぜか英語で話し合っていた。。
彼も私のことを日系の現地人だと信じて疑わなかったらしい…。
おいおいおい…。苦笑
彼もビッグウェーバーだ。
波のサイズが上がるのを心待ちにしていたらしい。
連絡先を交換して、いったんタウンへ引き返す。
15;30
再び本気を出したOKANDAへ。
ついに車が直った。
直ったというより液漏れが止まった。
ジャヤさん、少し離れた大きな町まで頑張って行ったらしい。
グッジョブ、ブラ!
車は潰れたままだがこれで帰れる。
ひとまず安心。
早速車でOKANDAへ。
ジャヤさん、バッファローを見つけるたびに
毎度大声で怒鳴り散らす…。笑
気持ちはわかるけど…。
夕方さらにサイズアップ。
でもノーバディサーフ。
なんて素敵な時間なんだろう?
友人は疲れがピークらしくすぐに上がり、
岸から恨めしそうに私のサーフィンを見ている。
私は一人日が暮れるまで波に乗る。
100メートル以上は余裕で走れる波。
サーファーであることに心から感謝。
サーファーでなければこの場所には絶対いない。
この景色は見られない。
21:00
夕食時、
再び魔のALAKを1本飲み干す。。
→いい波に乗ってご機嫌な私、
懲りない面々…。
酔いまくる。。
疲れもあって本当にフラフラになる。
私は本気の波に乗って気分上々。
全員千鳥足で、
汚らしい商店で買った30円くらいのアイスクリームを食す。
賞味期限大丈夫なのだろうか…
酔っているのでどうでもいいが。(笑)
疲れ切った体に甘さが染みる。
24:00
ろれつが回らずフラつきながら就寝。。
明日はいよいよ最終日。
DAY5
6:00 宿をチェックアウト。
今日の深夜にコロンボ発。
10時間走ることを考えると、
朝から移動し、途中のスポットで1ラウンド入ることに。
島の南半分を半周する形で西側のコロンボまで。
途中、また像。
やり過ごしてまた像。
それでも像。像。像。。
もういいよ。。
途中で水牛の乳から作られるヨーグルトを食べる。
保存ができないのでここでしか食べられないそうだ。
正直乳製品には大いに抵抗があったが、
食べてみたら美味しかった。
蜂蜜が疲れた体に染み渡る。。
13:00
島の南端あたりまで下り、
HIRIKATIAというポイントで入ることに。
小さな湾で一見静かなビーチだが、
波が来ると湾全体が大波で動く。
→波が来ると様相が一変。地獄絵図に(笑)
デカい。
まるでハワイノースショアのようだ。
ついに本気の波が来た!
波の力に圧倒される。
板が短すぎる。
沖には欧州勢3名。
私、ノルマを決め、このお化け波を相手に闘う。
結局2時間マックスで。
一度だけ波に飲まれ岸に押し戻され
海底のリーフにヒットしたが大したケガはなかった。
もう思い残すことはない。
時間が押しているとジャヤさんに怒られる…。
近隣の民家で100ルピー(70円くらい)渡して
シャワー(浴室)を貸して貰う。。
ジャヤさんが交渉したとのこと。
家族の人たちがシャンプーとボディソープを握りしめた
半裸の異人(私)をリビングからじっと見つめている中、
お金を渡しそそくさと浴室へ。。
シュールすぎて笑えない…。
他人の自宅内で半裸なので
フレンドリーに話しかけるわけにもいかない…。
16:00
GALLEという街で
日本人女性が経営するかき氷ショップへ。
かき氷の他に日本のおにぎりや焼きそばなど庶民食を扱う。
ジャヤさんに
「オーナーが美人なんだよ!
YUJI!友達になって名前だけでも聞いてくれ!」
と懇願されていたが、残念ながらお会いできず。
ジャヤさん、悲しそう。。(笑)
俺たちはこの予定のために早く海から上がれと怒られていたのに。。
店員と談笑。
本場日本人がいきなり来たので
味はどうかとビビッていた。(オーナー以外すべて現地人)
19:00
ジャヤ宅到着。
ファミリーと1年ぶりの再会。
夕食をごちそうになり、談笑。
20:30
ファミリーと再度の再会を約束し、空港へ。
23:00
コロンボ空港着。
別れの時。
ハプニングがあったが充実できた。
ありがとう友よ。
再会を約束。
ジャヤさん、街へ引返すのに乗せてくれという
お客がいてお金になる。よかったな。
チェックイン。
帰りはなぜかボードチャージを取られず。。
喜んでクルクル回る私の連れ…。
これが自称勝ち組の真実の姿…。(笑)
空港内で土産を買うが、物価の高さにビビる。
滞在した田舎町とはかけ離れている。。
自称勝ち組の友。
同じくビビる。。(笑)
滞在地で1万円を使うとなると相当大変だが、
お土産であっという間にお金が消える…。苦笑
DAY6
1:20 コロンボ発。
バンコクへ。
機内に何人か日本人がいる。
スリランカ観光なら世界遺産巡りだろう。
ジャヤさんも毎回
「世界遺産を見ないで帰るのはお前らくらいだぞ…」と
悲しんでいる。
友よ、
俺たちは世界遺産以上の最高の波に出会ってるんだ…。
それ以上のことなんてどこにもないんだよ。
7:30
トランジットでバンコクから成田へ。
帰りのトランジットは1時間半しかないゆえに
飛行機の着が遅れたので焦る。
トランジットカウンターまで800メートルくらいあり、
中年2人、大いに走る。
しかしカウンターが大行列。
セキュリティチェックに1人あたり時間をかけ過ぎている。(人体X線検査)
職員に搭乗時間だから優先してくれといったが
皆一緒だと断わられる。。
にしても厳重すぎるセキュリティ。
入国するならまだしもトランジットだぞ?
往路はほぼスルーだったのに。。
同じ空港でこの違いが理解できない。
ぎりぎり間に合い無事搭乗。
16:30
無事?に成田着。
ハプニングもあったが結果オーライということにする。
今回出会ったすべての人々、大自然に感謝。
大きな視野をもってこからもエキサイティングな人生を送りたい。
一緒に旅ができるアグレッシブな人々とともに。
次はいずこへ。
波の良い場所へ。
非日常へ。
忘れられない一生の思い出を探しに。
経験は人を変える。
生意気な50代を目指そう。






















