何年か前のテレビでアゲハ蝶の話をしていた。アゲハ蝶は柑橘類の葉っぱが好きで日頃飛んでいくの際に、通り道があって回遊するといった話だった。これを覚えていた私は嫁さんにニ、三年前にレモンの木を買って来て貰い育て始めた。すると、期待通りにアゲハ蝶が来るようになり、レモンの木に卵を産むようになった。

 

 卵は孵って先ずゲジゲジのような幼虫になる。一週間ほどすると青虫君になるのだが、天敵鳥さん、中でもスズメに見つかると全滅してしまう。今日も朝鳥の声がする。それではあまりに可哀想なので、そこそこ大きくなったゲジゲジ君を虫かごに入れ、レモンの葉っぱを敷いて部屋の中で飼うことにした。難しいものでゲジゲジ君が小さいと虫かごの穴から脱走してしまう。脱走は2度ほどあったが2度とも発見して事なきを得た。毎日葉っぱを入れ替えたり、霧吹きを掛けるのは嫁さんの役割で私は専ら監督。

 

 すると、ゲジゲジ君は数日すると青虫君となり、これがとても可愛いのだが、むしゃむしゃとレモンの葉っぱを食べまくると共にたくさんのうんちをする。なので虫かごを清潔に保つのは結構な作業となる。更に1週間ほど経つと青虫君は1.5㎝から4㎝くらいになり、そのうちに虫かごの中を上に上がり、口から糸を吐いて自らを固定させて蛹になっていく。さなぎはひたすらジッとしているので、1週間ほど待つとある日突然羽化してアゲハ蝶になっていく。アゲハ蝶は生まれたての時には暫く羽を乾かして、やがて羽をゆっくりと開閉させ、時間が来ると虫かごの中でバタバタし始める、まるで出してくれと言わんばかりに。

 

 そこで私が登場し、虫かごから外へと話して上げると元気なアゲハ蝶は屋根より高く飛んでいく。「また戻ってレモンの木に卵を産んでくれよ!」こんなことを昨秋から始めたのだがほんと試行錯誤の繰り返しである。昨年秋が深まると予定通りに蛹がアゲハ蝶にならないので冬眠するのではないかとじっと春まで待ったのだが2匹は羽化することは無かった。また今年5匹育てて全てアゲハ蝶になったのだが、1匹は羽が不完全で十分に飛ぶことが出来なかった。庭の木に停まっていたのだがどうなったのだろう?またゲジゲジ君のまま動かなくなったり、放すタイミングが早すぎてヨタヨタと跳びあがれなかったり。失敗を積み重ねながらノウハウを磨き沢山放せるように頑張っている。

 

 良かったこと、青虫君がとても可愛い。それにアゲハ蝶の羽の文様がとても美しい。うまくいけば約1ヶ月位で飛び立ってくれるのだが、その間幼虫の親になった様な気分で毎日ハラハラしながら育てている。なんか心持が優しくなったような気がするのは、嫁さんも同じだろう。(了)