私が子どもの頃、母はご近所さんとお付き合いをしていて、私も何人かおばさん方の顔を覚えています。

お向かいに住んでいたおばさんは、母より大分年上で息子さんが私より10才以上も上でした。

おばさんにはよくしていただいて顔ももちろんよく覚えてますが、息子さんとはほとんと顔も合わせたことがありません。

唯一つながりがあったのが、土曜の午後でした。

息子さんは、バイクが好きでした。

土曜の午後にバイクを家の前で洗車します。

私は、土曜半ドンで学校から帰ってくると、たまったピアノの練習をしていました。

つっかえつっかえ弾いていると、お向かいの息子さんがバイクの洗車をしながら、私が弾いているピアノの曲を鼻歌で歌うのが聞こえるんです。

恥ずかしいなーと思いつつも、ほとんどしゃべったことも会ったこともない息子さんと、会話しているよな気持ちになりました。

その息子さんが、若くして亡くなりました。

おばさんは、息子さんに先立たれてしまいました。

私は、顔も声も覚えてないけど、その鼻歌を思い出して涙します。

どんな小さなことでも何かつながりがあった人が亡くなると、さびしくて涙します。