イオンがテスコ日本法人をわずか1円で取得できた理由
「週刊ダイヤモンド」編集部

2003年以降、約300億円を投じて日本で事業を続けてきたテスコだが、イオンへの譲渡価格はわずか1円となった
イオンは今秋を目途に、英小売り大手テスコの日本法人テスコジャパンの株式50%を取得する。
当面はイオンの持ち分法適用会社とするが、テスコはすでに日本からの撤退を決めているため、いずれはイオンが完全子会社化する方向とみられる。

テスコジャパンは首都圏を中心に食品スーパー「つるかめ」「テスコ」など117店を展開しており、営業収益は550億円に上る(2012年2月期)。
だが、店舗の半数が今も赤字であるため、今後、イオンはプライベートブランド「トップバリュ」の投入や、ITシステムや物流網のインフラ活用などで、経営改善を目指すことになる。
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イオン自体は、自社のトップバリューの原価を持って店を売上を維持できたら、
赤字店舗の約半分程度は改善できると踏んでいるのだろう。
そうすると収益は更に上る。

しかし、TEISCOは一時期、わんやわんや!ビッグデータを活用し、揺りかごから墓場までなんて、CRMの神様のようなGMSとしてデータベースマーケティングではもてはやされていた。

でもね、データベースマーケティングの前に
小売企業は、品揃え、仕入力、商品独自性の3つが揃っているから分析が成り立つもの。

会社を売却し、首都圏近郊の新しいチャネルの買収資金がゲットできるのなら、バーターのように利益が出ているユニットを売却する。
戦略の目標達成のためには、現状のユニットの利益なんて銀行から借金するより調達効率が高いと総合的に判断した理由が裏にある。

この戦略目標のブレの無さが、外資系企業の最もすばらしい意思決定システムだ。

日本企業にはこれは無理だ。
未だに不採算部門のみを切り売りしている状況。
戦略の選択肢の多様性に対応できるかできないか。

これが日本の企業に求められるこれからの経営技術だろう。