先日、夏休みもあり私だけがお盆に家で過ごすこととなった。
男は面倒臭がりなので、レトルトカレー祭りでもやろうと
4日分のいろんな種類のレトルトカレーを買い込んで、2日目に挑んだ時に出会った優れものを紹介する。

「ヤマモリ」というメーカーの
タイカレー チキングリーン

先に紹介した神戸ゲイロードのキーマカレーといい勝負の味とコクだ。
バンコクのオリエンタルホテルの水上レストランで食べたディナーを思い出した。

あまりの美味しさに「ヤマモリ」のホームページに
「こんな美味しいカレーは貴重で、終売や廃番に絶対しないで欲しい」
と意見を書き込んだ。

翌日早速、「ヤマモリ」のお客様相談室よりありがたく返信を頂いた。
下記の文面で。(固有名詞は省略させていただいた)
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Black Jack様

ようこそホームページをお訪ねくださいました。平素はヤマモリ商品のご愛顧を 賜り、ありがとうございます。

さてこの度は、タイカレー・グリーンへの大変ありがたいお褒めのお言葉をお寄せ頂き、恐縮致しております。シリーズいくつもある中、一番良く売れている商品でございます。

タイ関連商品は、私どもの現地工場にて製造し、10年を経過してまいりました。
この秋からは又新製品をいくつか新発売の予定でございます。
お見かけいただければ是非お試しくださいますよう、お願い申し上げます。

改めて御礼申し上げます。大変ありがとうございました。
Black Jack様の今後益々のご健勝を祈念いたします。
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〒511-8711 三重県桑名市陽だまりの丘6-103
       ヤマモリ㈱ お客様相談室
          ○○ ○○
      電話 0120-049-016
         0594-33-3894
      ファックス0594-33-4076
      Eメール ssssss@yamamori.co.jp
http://www.yamamori.co.jp/
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まあ、こんなヒット。知らなかったのは私だけで、
きっと多くの賛美が寄せられているに違いがない。

実はこの返信内容。巧妙にさりげなくブランド要素の基本
盛り込まれている。

①10年の歴史がある(これは食品では長い)
②タイの現地で製造している(ギミックでなく本物というストーリー)
③最も売れている商品(ヒットであることを伝えている)
④新たな新商品もリリース(事前予告情報。当然期待する)

どこかの汚い「おばはん経営者」の「耐震基準を満たさないホテルチェーン」の
バカ高いカレーなどとは違う本物志向だ。

フェースブックなどに企業サイトをオープンする場合、
カレーだったらカレーのページに直接、飛ぶように工夫をするとか、
こういったVOCを具体的に紹介し、それとなく自社の製品の歴史を
ユーザーに伝えていくとかなど、真なるイメージアップの
方法はいくらでもあるのではないか?

いんちき臭い、どこぞの通販化粧品DMに封入されているような「サクラ」だらけ眉唾の「顧客の声」とは違った重みが、このVOCマネジメントに感じられる。

店頭のフェースに並べられる多くのレトルトカレーの中で
選んでもらうには、もうTV-CMの時代ではないのでないか。
TV-CMにはそれなりにコストが伴う。
店舗の棚スペースを取り、大量に販売するモデルで
満足する製品ができるとは思えない。
TV-CMを打たなくなると同時に終売となる。

TVでこの「ヤマモリ」のタイカレーが宣伝されているのは見たこと無い。
生産設備が大きくなく、その代わりに味に拘りを持ち、
満足度の高い商品を終売することなく作り続ける。
そして知っている人が、利用し続ける。

消費も生産も平準化できるため、結果的に費用対効果が高く、
ロスのない製造が可能で、余計な芸能人に掛けるコストも必要ないし、
それだけで来店機会を生む。

食品スーパーもバックマージンやリベートなどの
所謂、中国式賄賂みたいなグレーな手法で仕入採用を決定するのではなく、
おいしい物を真面目に見極め、品ぞろえする努力の方が、
おいしい物が店頭に並ぶ。

VOCを活かし、そして地道にファン層を醸成する。
これが、フェースブックやSNSの使い方であり、CRMの本質だ。

つまり効果測定なんてできるわけがないことを
読者の方にもわかってもらえたと思う。