マーケターならRFM分析の意味や言葉は良くわかっていると思う。
これを提唱したのはアーサーヒューズという米国のDBマーケティングコンサルタントだ。
最近、システム導入によりTera-dataなどの高価なおもちゃを導入した企業が、
実は運用に困っているのがこのRFMだ。
では、失敗例としてあげてみよう。
きっと皆さんの知識に役立つと思う。
そりゃあ、システム会社はデータの運用やデータ活用の最適化などは与えない。
言われるとおりにシステム導入して、お金をいただければそれでよいからだ。(笑)
で、情報システム部は現場のソリューションやマーケティング知識など皆無だ。
結果、導入したのにどうもしっくりフィットしないのだ。
■失敗その①
F:フリクエンシーとM:マネタリーで区分はするが、マネタリーを累計マネタリーで区分している。
これ、フリクエンシーが進めば、累計マネタリーが進むのは当たり前。
同じ意味のことを違う切り口で区切るから運用できなくなる。
通常、マネタリーを使用するのはあまり意味がなく、RFで区分すれば十分だ。
どうしても利用したければ、平均マネタリーを算出して書き込めるようにプログラムを変更すること。
これね、ポイントカードの利用金額が多いほど上位顧客である!というポイントカードデータと販促用のデータをごちゃ混ぜにするから、こんなことが発生するんですよ。
何か特定カテゴリーだけを商材として扱っている業種ではなく、
総合小売=スーパー、GMS、百貨店などはマネタリーでアクションするのは大雑把過ぎて意味を成さないし、細かくニーズクラスターに区分することも出来ない。
つまり使えないということ。
単に、儲けさせてくれたお客さんか、そうでないかを判別するだけのこと。
これじゃ使用できませんよ。
★対処法
RFのみで運用し、その先のセグメントは、クロスセルを使う。
つまり切り軸を変えるのだ。
意味は、どのようなジャンルカテゴリーを利用してくれているのか?それは何種類か?
実はこれにより随分と自社に対するロイヤリティが違うのだ。
・例:引越しの際、古くなった家具と家電品を業者に廃棄してもらい、新しいのを買った。
→こんなもの特需でしょ。しかも耐久財。一度買えば5年は買わない。
→単年度だけのマネタリーで上位顧客だー!と騒ぐ前に需要ニーズをプロファイルすべき
・あるネットスーパーの話でもメインは食品だが、寝具や家具も扱っている。
→食品をコンスタントに利用してくれているから、偶に家具等も購入してくれる。
→重視するのはフリクエンシーであり、マネタリーではない。
という例がわんさか出始めて、運用の答えが出せず、経営計画室も困っているらしい。
まあ、システム投資の時だけ、本を読んで勉強して、自社のシステム閾値を設定するとこんなことになる。
■自社の優位性顧客の顧客像や購買像を策定できず、本を読んだだけのマーケターに多く見られる失敗だ。
■因みに自社の分析結果でも、マネタリーの高い顧客は休眠化が激しく、上位化の相関は出たケースは極めて稀。
■百貨店などはマネタリーよりも、婦人服、宝飾、呉服などの高額品の利用の有り無しと食品を買い続けているのか?だけでマネタリーは説明できる。つまりマネタリーの切り軸は無用の長物だ。
やたらと使い方も分からずにピッチを区分し、運用できなくなる前に、
“知っている”“本を読んでやってみた”“弊社ではもうアウトプットできている”
と言う前に、現場を確認し、きちんと勉強して基本知識を身につけよう。