ソーシャルメディアが、マーケティング上で最も注視

すべきメディアとして 大きく脚光を浴びている。


むしろ騒ぎ過ぎの感もあるが。


しかし、マーケティングのこれまでとは大きく違う点も

明確になってきたので、私なりの気づきを纏めてみる。


弊社のこれまでの複数のベンチマークで

WEB-ECにおける顧客の継続率は、

店舗、或いはカタログメディアなどと比較すると

非常に低い推移を示す。


これは、WEBメディアの効率が低いと

捉えられてしまうのですが、

根本的な構造が違うと理解しなければならない。


例えば、店舗は、


■足を運ぶ時間、および労力を顧客が負担しなければならない。

そのために自ずとロイヤリティが高くなければ、不可能となる


■一日の内、何店舗も見て廻るという時間が無い

そのために期待度の高い店舗から先ず見て廻る。

その内、“まあ、これでも良いか”という妥協が入り、

購入に至る


カタログ通販では、


■そもそもカタログが届かなければ購入しようが無い

つまり届けられたカタログは優先され目に触れる。

競合のカタログが届かなければ、認知情報量も少ない。

基本的には、ロイヤリティの高い顧客に情報到達されるため

囲い込みやすい


■顧客リストは自社のものと思っているのは通販会社だけ。

実は5年前のサンプリング調査統計でも、

一人当たり13社のカタログが届いている。

顧客は、数社のカタログを使い分けていることになる


これまではこのような状況だが

WEBではどうだろう?


■好きな時間に欲しい商材を検索で見つけ出す。

■競合と比較する情報量は非常に増加している

■反して情報を取得する時間は極めて効率的になった


シニア層を除き、現在のユーザーを自社に

繋ぎ止める環境を維持するのはWEBの進展により

不可能である。

もう誰も止められないし、囲い込めないのである。


顧客を囲い込むよりも

優れた商品を生み出し

他社とは違った点を

情報発信することにより

結果的に顧客から選択される

存在になること。


これが現状に必要なマーケティングの課題となる。


さらに市場が成熟化し、商品個々の

基本的性能に差が無くなり、

差別化の拠り所が無くなった昨今では、

商品以外の企業の理念や考え方も含め、

顧客から選択されなければならなくなった。


あたかも企業を人として捉えた時と同じで

企業のキャラクターを含めての理解浸透だ。


だから、ソーシャルメディアなのだ。


囲い込みではなく、

ターゲットの年齢や性別がどうのこうのではなく、


自社の理念や考え方、キャラクターも含めて

ロイヤリティを高めてくれるユーザーを

ゆるーい関係性で繋ぎ止める。


これがツイッターやフェースブック

の役割だ。


顧客をドライブして莫大なコストを掛ける

よりも発信する情報に、自然に吸い寄せられる顧客が

結果的に上位顧客なのだ、という考え方。


週間ダイアモンドの記事の中でも

「MixiホンダCR-Zのキャンペーンで82万人が登録」とか、

「モバゲーで1,000万人以上がコカコーラのロゴに触れる」

などとマス媒体と比較した話に文脈がどうしても

導かれている。


それは費用対効果の側面であり、

リーチの量ではないだろう。


しかし、これらのソーシャルメディアを通じ

コミュニケーションが出来るユーザーも

実はごく一部に限られてしまう。

ツイッターでフォロー数が獲得できた人数は、

これまでのメディアと比較し、大した数ではない。


この状態は、やる気があれば

ディーラー社員やコールオペレーターを通じ

ユーザーが受け取る一挙手一投足で

従来チャネルでも

顧客に伝え、インタラクティブ

コミュニケーションは確立できたはずである。


要は企業側が何も意識してこなかっただけであり、

これまでのような延長感覚で、

あらたなソーシャルメディアを利用しようとしても

従来と何も変わらないことになる。


ユーザーはすぐに飽きてしまい、

メディアの劣化速度が速くなるだけだ。


本来は、メディアを使いこなすことより、

企業の考え方、利用して欲しいユーザー層

ポジションなどを再策定すべきではないか。


今までと同じ、

誰にでも使っていただき、

誰にでも気に入られて、

多く数を売る。


そんな行動は返ってユーザーに

選択されなくなるのではないか。

無論、最寄品と買回り品の購買動機の

違いはあるが・・。


顧客に何を伝え、

どのような印象を与え、

どのような企業のキャラクターを提示するのか


そして、自社の商品を

使用するに相応しい

ユーザーを明確にし、

きちんとコミュニケーションをとる。


メディアの使い方を

云々するよりも

企業に必要な要素だ。