百貨店、まんまと引っかかった!?


昨日の朝、“特ダネ”で東武百貨店の名物食品を取材していた。

日経新聞のサイトでも

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楽天の仮想商店街「楽天市場」で人気のある菓子や食品など約50店を集めた物産展が25日、東武百貨店池袋本店(東京・豊島)で始まった。開店当初から多くの客でにぎわい、初日は予想を25%上回る売上高となった。30日まで開催し、10万人の来場を見込む。ネット通販になじみのない消費者を取り込む。

・・・中略

今年1月にはヤフーが同様の物産展を西武池袋本店(東京・豊島)で開催。予想以上の好調を受け、同店は今月24日に通販商品の常設売り場を開設した。ネットと百貨店の連携は、今後も有効な販促手法として広がる可能性がある。

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これはクロスメディアとしての取り組みで、先のセブン&アイとYahooの取り組みの例にもあるように、


面白い試みだが、複雑だ。たしかにカンフル剤としての役割を果たすのだろうが、ここから下記のように考えてしまった。


■しかし、百貨店は商品開発力がなくなった。

もう自社の開発力では顧客を集客することは出来ない。百貨店に残された道は、駅前立地のとてもコストのかかる広大な売場の場所とイベント集客ネタを考えるいわばブローカー的発想しか残らない


■まんまとネットの作戦に引っかかった

ネットのアクイジション企画としては、めちゃくちゃコストが掛からない施策だ。

ネットは従来、百貨店が保有するシニア層かつ富裕層のリストは保有していない。消費について不埒で浮気層が多くの人数で広く浅く支えている。

今回の食品で百貨店ロイヤリティ層がまた“食べてみたい”と思ったとき、

富裕層の子供達=現在の30代、40代が代理購買としてネットでリピートオーダーする可能性があるのだ。


つまり、ネット系企業においてはこれまで取り込めなかった百貨店ロイヤリティ層を代理購買を通じ、その需要を取り込めるということが大きなメリットだ。


一時の集客でカンフル剤的に行ったイベントにより、長期的にはまた顧客のお財布からはネットへの需要にシフトするわけで、百貨店はお財布のシェアをネットに取られるだけなのだ。


イベントは盛況かも知れない、しかしそのような視点を持たなければ、百貨店は疲弊するということを理解しておいたほうが良い。

WEB円天と楽天との差もわからない年配の富裕層は、美味しいものが手に入るのなら、代理購買もさせちゃう。

子供達がコンシェルジェだからだ。


将来的に大手WEB企業に百貨店自体を売却したいのなら、このようなイベントをどんどんやれば、少なくとも今だけは活性化するのではないか。