心斎橋そごうの売却、有楽町西武の閉店、京都川原町阪急の閉店と閉店ラッシュだ。
確かにキャッシュフローが問題で現金流動化するのが経営上、重要な意思決定かもしれない。
しかし、その昔、百貨店のビジネスについて下記の様な話をよく聞いた。
■百貨店に出店するのは体力が居る。シーズン期末に一斉返品、家賃と光熱費高く、人も派遣、売上リベートも高い。これじゃあ、体力のある大手の企業しか百貨店に品揃えが出来ない。
■あるバイヤーの話で、商品は面白くて品質も良いけど、既存の取引先があるから新規口座開設は中々難しい。(バイヤー自身が上司を説得するのを面倒くさく、自分でも商品の魅力が伝えられない。最後には「じゃあ売れるのか?」の一言で引き下がってしまい、良い商品を作るサプライヤーはあっけなく辞退)。
既存の取引先に似て非なるものを作らせてしまうのだ。
これで、一気に品揃えの下剋上、ダイナミズムが失われていった。
規模の大きな企業しか取引が出来なくなったのだ。面白くない商品しか作らないのに。
■あるWEBマスターが、店舗の情報発信をWEBサイトでやりたいのだが、バイヤーに取材したいのですが。
⇒商品情報はサプライヤーの方が多く持っているし手っ取り早いので、直接サプライヤーの後方に聞いて。
⇒サプライヤーは競合他店にも商品を出しているので、特にそれを宣伝されても・・・・。
これは、品揃え型の店舗文化ではなく、管理財務型の店舗文化となったためであり、百貨店の品揃えがどこも同じで、サプライヤーに頼り、規模が小さくても面白い商品を作るものを積極的に採用しようという気概がなくなってしまっている点にある。
特に二つ目の新規口座開設を鬱陶しくしてしまったのは、ひとえに財務畑の人間が本部長に立った場合などに良く見られる。
数字とお金しか見ないため、商品の魅力が理解できないからだ。
食品や地方物産が何故人気があるのか?
食品業界はもともとサプライヤーの規模が小さく、専門性が高い。取引を規模基準にすると品揃えが出来なくなるから、地方の中小でも実力のある美味しいサプライヤーはどんどん品揃えが出来るのだ。
しかし、ここまでに至るまでにいくらでも改善の余地はあった。
今でも人気のあるセレクトショップや専門店などは、百貨店の専売特許であった筈だ。
海外の優れものを発掘し、お店に品揃えし、上得意顧客に優れた物づくりの情報発信を明確に行い、お奨めしてきた、いわゆる舶来物だ。
どこにでも並んでいるブランドメーカーは取引上の与信やサプライが安定しているから、安心なのであろうが、チャレンジ精神と顧客への提案性を失った時点で、その存在意義はなくなった。