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はじめに:相続は感情と制度の交差点
2024年に急逝された女優・中山美穂さん。その相続を巡る報道が、多くの人の関心を集めました。中でも注目されたのが、パリ在住の長男が相続放棄をし、長らく疎遠だった実母が遺産を相続する可能性があるという点です。
相続とは、法律と感情、両方が交差する非常にデリケートな問題です。このような芸能人の事例をきっかけに、私たちも「相続放棄」や「家族のあり方」について考えてみましょう。
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事例紹介:中山美穂さんの相続で何が起きたのか
中山美穂さんには、元夫との間に長男がいます。その長男が相続を放棄したことで、次に相続権を持つのは中山さんの実母、つまり彼女の母親となるわけです。
実は、この実母とは中山さん自身も長年疎遠だったと報じられています。こうした事情から「本当に望んだ相続だったのか?」と疑問に思う方も多いかもしれません。
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相続放棄とは?知っておくべき基本知識
相続放棄とは、家庭裁判所に申し立てることで「最初から相続人ではなかった」とみなされる制度です。放棄の申請は、原則として「被相続人が亡くなったことを知った日から3か月以内」に行う必要があります。
書類の不備や期限切れには注意が必要で、感情的な判断だけでなく、法的な影響も踏まえたうえで慎重に検討することが重要です。
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誰が次に相続する?代襲相続と順位の仕組み
相続は「順位」によって、誰がどのタイミングで相続するかが決まっています。中山美穂さんのように配偶者がいない場合、まずは「子」、次に「直系尊属(親)」、その次が「兄弟姉妹」となります。
今回のように子が相続放棄をすると、順位が次に移行し、親に遺産が渡ることになります。
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相続放棄は“感情”で決めていいのか?
「関わりたくないから」「何となく負担になりそうだから」といった理由で安易に相続放棄をしてしまうと、結果的に思わぬ人に遺産が渡ってしまう可能性があります。
特に疎遠だった親や兄弟に渡ることで、さらなる人間関係のトラブルに発展するケースも少なくありません。
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疎遠な親に財産が?そのリスクと注意点
高齢の親が財産を相続した場合、それを適切に管理できるとは限りません。また、不動産や借金など、負動産が含まれていた場合、放置されてしまうリスクも。
成年後見制度や信託制度の活用も視野に入れ、必要に応じて事前に手を打つことが重要です。
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相続放棄した後でもできること
相続放棄をしたからといって、すべての関与が絶たれるわけではありません。例えば、生前の介護や支援をしていた場合、「寄与分」として一部の財産を請求することも可能です。
ただし、相続人の同意や調停が必要となるため、事前に法律の専門家に相談することをおすすめします。
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遺言書の有無が分岐点になる
今回のケースで仮に遺言書があれば、また異なる結果になっていたかもしれません。誰に、どの財産を残すのか。特に家族関係が複雑な場合は、公正証書遺言を活用して意思を明確にしておくことが、将来のトラブル回避につながります。
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家族の対話と準備が“争族”を防ぐ
相続は一夜にして訪れます。そして、一度起きてしまうと修正が難しいことも多々あります。だからこそ、生前から家族で対話を重ね、エンディングノートや生前贈与などの備えを進めておくことが大切です。
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専門家として伝えたいこと
私たち行政書士は、書類作成のプロであり、家族関係や相続問題に寄り添う相談相手でもあります。
今回のようなケースをきっかけに「我が家も他人事ではない」と感じた方は、一度立ち止まって、家族との話し合いや専門家への相談を検討してみてください。
相続の準備は、「誰かの死」に備えることではなく、「残された人の安心」に備える行動なのです。