今度こそ別れだな、と覚悟する壮絶なやりとりの紛争があった。
理屈ではない。
女の激しい情念が暴走し手がつけられない。
男は長時間にわたって相手をし、嵐が過ぎ去るのを待った。

一夜開け、男は名店のウナギの店に女を連れて行った。
白ワインを注文し何に乾杯してるのかわからないが、グラスをあわせた。
やがて鰻重がテーブルに届く。
蓋を開けると男と女の間にふくよかな甘い香りが広がった。

「今日はもう嫌なことを話すのやめような」
「はい」

白ワインに洗われた口中にウナギの豊かな香りが広がっていく。

またやっていけるかな、そう男は思っていた。