男と女はガレットを食べていた

「君はガレットが嫌いと言ってなかった?」
「ここのは美味しいからいいの」

女は海苔巻き型にしたガレットを
嬉しそうに頬張っている

ガレットはブルターニュ地方の名物で
元々は十字軍がイスラムから蕎麦粉を持ち込んで広がったものだ
男はパリの学生街でよく食べた
だからどちらかと言えば
若者向けのファーストフードである

それでも、二人で色んなものを食べてきたなと改めて思う
男はいろいろな食べ物を女に教えてきた
女の舌が磨き上げられていくのを眺めてきたのである

そして、同じように様々な感度が女の中で
熟度を増していくことも知っている
それをじっくりと味わうように
男は眺めている