シモーヌ・ヴェイユ | ソフィーのブログ

大嶋氏の最新作『科学と詩の架橋』第一章に取上げられたる思想家はシモーヌ・ヴェイユ。

彼女曰く「代数学、人間から詩心を奪い得り」

ヴェイユの経験多岐渡れども、自ら自動車工場等での労働体験依り、「現代労働者の不幸は貧窮等に存するのでは無く、詩心の忘却に在り」と喝破す。更に彼の女史、ポルトガルの田舎漁村に赴き時、激しき肉体労働で疲れた漁師等が当地民謡を唄えし。此れを観察した女史は、彼等風采貧しく疲労困憊せど、幸福に映る事此の上無。

ヴェイユは此処で、人間の思考内での歴史的変化を感じ取る。代数学の発展と我々共の生活への定着は、数量・能率を強制し、不幸へ至らしめるか。成程、代数学公式の一般性且つ正確度が確認せられば、公式への接続のみで中間思考無く解決可能。其の方法論、数多に定着し、人間の脳に侵食すれば、我々現代人は如何に不幸に為らんか。此処には詩心と言うものは存在せず。

流石天晴、シモーヌ・ヴェイユ。現代社会真理の一端を此処に示す。