久しぶりに見る恋愛物。其れも老人のそれである。
とは言いつつも、過去の大恋愛、それも53年前に遡って継続する。
其の原点である『男と女(1966)』は過去二度観た記憶がある。大恋愛の末、二人は結婚すること無く別々の人生を歩んでいた。
フランス映画によくあるパターン。質問と答え、
「何故、結婚しなかったの?」 に対し、アンヌ(アヌーク・エーメ)は、
「完璧過ぎる恋愛だった」 と答える。
双方、別の家庭を持ち、ジャン(ジャン・ルイ=トランティニャン)はプレイボーイの浮名を流しつつ、生涯忘れられない女性はアンヌであった。
他方アンヌは、映画プロデューサーとして芸術性を求めすぎ、商業的成功は為すことなく、獣医の娘に世話になり、お店を経営しながら余生を送っている。
養老院に預けられているジャンは、痴呆で記憶が怪しい中、アンヌの事だけは鮮明に覚えているのであった。
不憫に思った息子は何とかアンヌを探し出し、再会の機会を設けるのである。
結局、様々な葛藤がありつつも、二人はまた運命的な交わりを再開するのである。
私は死期の近い男が未だに過去の女を思い出す執着に驚く。
実際、去年亡くなった父にしても、享年88歳、見合い結婚で一緒になった自分の妻(当然私の母)よりも、別れさせられた恋人(別に大恋愛でも何でもない)に思いを馳せたりしていた。
酷いことには、そちらと結婚した方が良かったなどと悔恨の情を表していた。
また、ジャンは人生の決算を纏めるべく、ヴェルレーヌの詩を暗唱していたりする。
永遠の女性を求めるかの様な、此の男の本性というか本能、執着に恐れ入るのである。
最後に、残念だったのは、エリック・ロメール監督の『緑の光線』のパクリがエンディングに使われたことかな?
最高にロマンティックな演出をする為に、そうヴィクトル・ユーゴーの言葉、
「人生最良の日々とは、まだ生きていない日々だ」 を表現するには『緑の光線』を使用することが・・・
本当、愛に関すれば、フランスは世界一になるだろう。

