梅田支店勤務時代、彼の担当エリアに同世代の友人K氏がいました。
K氏は某企業の取締役財務部長の席に就いていました。
K氏は大手ビヤホールチェーン社長の娘婿だったのです。
彼はスーツのポケットに小物を入れたり、かばんを持ち歩くのは好みではなかったので、K氏が何百万の小切手を入金してくれても彼は名刺の裏に仮の領収書を書いて渡すだけなので、几帳面なK氏は嫌がりいつも小言を言っていました。
しかし彼のやり方を改めさせることはできませんでした。
性格的には正反対の二人ですが、価値観は同じようで気は合っていました。
神戸支店に赴任して久しぶりに彼はK氏に電話を入れたました。
K氏は喜びました。
K氏「どうしてらっしゃいましたか?」
彼「ごめん、ごめん、なかなか落ち着かなくて、ちょっと頼みがあるんだけど。」
K氏「いやいや!いいですよ。」
彼(話も早々に突然)「貴方の会社の神戸地区所在の仕入先住所録を持って、元町駅まで来てください。」
K氏「えっ!はっハイ、わかりました。」
彼「すまんね。」
K氏「いっイヤいつものことで・・・・・・・」
JR元町駅で落ち合うと彼は、うんもいわさずK氏をスクーターの後ろに乗せてK氏の仕入先を次から次へと片っ端から訪問し始めたのです。
K氏『こちら福○銀行のHさんです。』こちらの銀行に口座を開設してください。来月からはその口座に振り込みします。
仕入先「ハイ わかりました。」
この方法で彼は20社の当座開設に成功しました。当座開設20社は平均的営業担当者の1年分の成果です。
彼は1人の友人のおかげでたったの2日で1年分の仕事をしました。
そのお礼にと、翌月の1週間彼はK氏の会社の宴会担当者をスクーターに乗せて、彼の担当先を回りました。
ちょうど町は師走で忘年会、新年会の予約を取りに回ったのです。
取引先からは「いつから仕事を変えました?」
と冷やかされましたが、
彼「鳥のから揚げをサービスしますから、どうぞよろしく!!」
と念を入れて頼んで回ったのでした。
『よき友を持つものは、
自分の方でもよき友になれるものでなければならない。
自分だけが得することは不可能である』
「武者小路実篤人生論集4 幸福の条件」(講談社)より
しかし、彼の場合もそういう事なのでしょうか・・・・・・