夏のおくりもの
やっと目をさました私を見て
子供が言った。
「見て!庭にゆりの花が咲いたよ!」
風にゆられて辺りを見回すと
花のない庭に
私がひとりだけ立っていた。
「どこからきたんだろう?」
母親らしい女性が微笑みながら
私を見つめた。
「鳥が運んできたのかな?上の階のベランダからこぼれたのかな?」
子供が首をかしげてきいている。
「わかった。これは夏の贈り物ね」
母親は私の顔を覗きこんだ。
風が吹くたび
私は何度も彼女にうなずいた。
夏の間、手入れをしなかった庭は雑草であふれ
ヒマにしている息子に草刈りを頼んだ。
雑草だと思ってた一本の茎に
スラリとしたつぼみをつけた百合を発見。
植えた覚えはぜんぜんない。
どこからか運ばれた百合の花。
どんな色の花が咲くのだろうとワクワクして待った。
庭の草刈りも、百合の花のまわりだけを丸く刈り込んで・・
息子はゆっくりと1週間ほどかけて草を刈り
その間に、ようやく百合の花が咲いた。
白い、清純な花でした。

