答えはいつも例 | SOFIA_SS

答えはいつも例


市の広報紙を見ていたら、「求人」のところに目が留まった。

教育相談指導訪問員の登録者。

不登校児童・生徒が、学校に復帰するための支援をするのが仕事。

登録だから、すぐに仕事をするわけではない。

資格は、教員免許を持っていること。


どうしようかな。

登録してみようか、、と思った途端

玄関のドアが開いて

大きな泣き声が。

「おかあさんがいい!学校はいや!行きたくない~~っ」

玄関に立ち尽くして、号泣する末っ子。

あらら

こんな身近にも、不登校児童が?


なかなか泣き止まない末っ子を抱きながら

黙って背中をポンポンと叩いていると

だんだん、嗚咽が小さくなってくる。

「お母さんがいい」、そればかりを繰り返す。

「学校には行きたくない」。


我慢をし続ける子より、こうやって泣いて感情を出してくれるほうが助かる。

「わかった。お母さんがいいんでしょ」

「うん」

「わかったけど、どうしてお母さんがいいの?」

「学校はいや」

「いやなんだ」

「うん」

「どこら辺がいや?」

「泣くと、赤ちゃんみたいって言われる」

と、延々と繰り返し、話を聞いていく。


そして、どうやら、来週行われるマラソン大会が嫌だということがわかってきた。

ここのところ、学校ではずっとマラソンの練習をしているのだ。

走るのが苦手な末っ子は、ビリになると笑われるのがイヤだという。

「最後まで頑張ったら、誰も笑わないよ」

と言っても、本人にはそんなこと、信じられない。

「じゃあさ、この際、ビリでもいいじゃない」

「いやだよ!ビリはいや!」

「ビリになったら、お母さんが、最後までよく頑張ったねってことで」

「うん」

「ご褒美をあげよかな?」

キラリン☆泣きはらした目がちょっと元気になる。

鼻先にニンジンをぶら下げるやり方には、あまりやりたくないんだけど。

頑張ったご褒美、ということで、ま、いいか。(この辺、いい加減)

ほんの少し、気持ちが上向きになった末っ子に

「じゃ、明日も元気よく学校に行けるように」

「うん」

「今日は、焼肉を食べに行こう!」


大好物のお肉をたくさん食べて楽しそうな末っ子。

明日の朝はどうなることやら。

連絡帳には、担任の先生へのお願いとして

「うちでも、励まして送り出しますが、ビリの意義(?)を話していただければ、幸いです」

と書いた。


毎年、このマラソンの時期になると、走るのが苦手な子供の親は苦労する。

苦手なものに挑戦して、乗り越えることも大事なんだけど。

親って、根気のいる仕事なんだよね。

ひとりで何もかも背負ってしまっては、大変だ。


教育相談指導訪問員登録の履歴書、出そうかな。

「いいんじゃない?」 と、ダンナがうなずいた。