男子行員は将来役員、支店長と夢見て勤務していますので、日曜祭日の出勤もいといませんが、女性は損得なしで気分が乗らないと協力してくれません。
そこでよく支店全員で、生駒、六甲、唐崎の寮に1泊どまりで社員旅行に行きました。
男子社員には日ごろの感謝の気持ちをこめて女子行員サービスすることを説得し、知人の韓国人から女性用のチマチョゴリを借り、女装してサービスに努めました。
彼はチャンゴをたたき、踊りました。最初ニヤニヤして女装を嫌がっていた男子行員もお酒が入るにつけ、サービスの輪に入りました。
その変化と意外性が女子行員に受け、晩餐の宴は大変盛り上がりました。
後々、男子行員の一人が団地店舗の支店長になった時、お祝いをかねて夕食を共にしたときに、
「日ごろの感謝をこめて、徹底的に女子行員にサービスすることの大切さを教えてもらった。」と言われたときには彼は大変嬉しかったものです。
女性が会社のため、仕事のため、それに家庭のため、子供のため、と思うと男性の迫力などでは到底かなわない力を発揮することを彼は何度も見てきました。
深江支店に赴任してから、約束の1年が経ち、資金量も80億からかつての180億を越え、200億に近づいたとき、業務部副部長の辞令を受け取りました。
彼はそのとき将来が約束されていることを感じました。
そこで当初の計画通り、「好調のときに退職する」ことを実行しました。
こうして彼は22年の銀行勤めに幕を下ろしました。
一寸キザに思われることをすることが好きであった彼は、言うに言われぬ幸福感に包まれました。