彼はまず、不用になった本を寄付してくれるようにビラをまきました。

営業担当には個別訪問させ、古本を集めさせました。

そして彼は新聞社の社会部に連絡を取り、古本を売った代金を有意義な団体に寄付してくれるよう依頼し、社会面の記事にしてもらいました。


古本は駐車場を埋め尽くすほど集まりました。

その本に10円、50円、100円と値段をつけ、ロビーで販売したら10万円程集まりました。


本社総務がそれを聞きつけ様子を見に来たときには10万円程が新聞社に渡った後でしたので、「銀行ロビーでの物販は銀行業務ではない。」とか、「古本屋から苦情が来たらどうするのか。」と小言を言われましたが、「苦情を言う古本屋さんには残った本を差し上げます。」とか何とか言い訳して事なきを得ました。


また苦情が総務部か人事部からあることは予測されましたので、あらかじめ顛末書と始末書を準備しておきましたら、

総務部担当者「手際の良いことで。」

と顛末書の方を持って帰りました。

二度と定款に触れるようなことはしませんと書きましたが、その後何回もやりました。

その都度顛末書か始末書を本部行員に手渡しました。


販売しきれず残った本はロビーに置き、無料お持ち帰りの貸本にしました。

本を提供してくれた家には新聞記事をコピーして御礼に回りました。


テリトリー内の人々からその後、“古本の銀行さん”と呼びとめられました。

営業担当は、預金集めよりは古本、、TV、冷蔵庫、タンス、コタツ、扇風機等の不用品情報を集めて、必要な家に知らせることが本業のごとくなりました。


売ります、買います、あげます、ください、の情報誌も作りました。


中古電気屋の銀行さんとも近隣の人から呼ばれるようになりました。