【東方小説】咲夜の1秒戦争-7
「さあ、始めるわよ」
その掛け声と共に、咲夜の足元にも魔法陣が現れた。
「奇術『ミスディレクション』」
大量の弾幕がばら撒かれる。
「それで当てるつもり?」
ロイは最小限の動きでそれをかわしていく。
ふと咲夜を見る。
と、弾幕が発せられるその先に、咲夜はいなかった。
「・・あれ?」
あわてて辺りを見回そうと、
突如、全くの別方向から襲ってきた。
ナイフを用いた、咲夜の弾幕。
光を放つことはない通常弾幕が様々な方向へと飛ぶ。
「うわっ!!」
寸でのところでそれをギリギリかわした。
ミスディレクション。
注意を引いて、あまり注視して欲しくない場所から相手の意識を逸らす技。
咲夜が得意とする、マジックの手法の1つだ。
それを見て、ロイは思いついた顔をして、
にいっと子供のように笑った。
「面白いね!
私もやってみようかな――?
影在『幻惑ミスディレクション』」
咲夜と同じように、大量の弾幕がばら撒かれた。
自分と全く同じ、変わり映えしない技。
咲夜は呆れた。
「知ってる?
タネの分かった手品ほどつまらないものはないの」
真似しただけなのだ。
今まで弾幕勝負を知らなかったのだから、
所詮こんなもんか。
案の定、別な方向から弾幕が飛んできた。
ロイが放ったのは、黒塗りのナイフ。
暗闇では見えづらい保護色だが明らかに存在する、影の濃い弾幕。
咲夜は苦笑いした。
「私も舐められたモノね」
先ほどの自分の攻撃とほぼ変わらない、
それどころか自分の攻撃よりスピードさえも遥かに劣っていた。
それを、最小限の動きでかわし
「――っ?!」
かすりもしなかったはずの咲夜の銀色の髪が
何かに切断されパラパラと宙を舞った。
後ろを見ると、壁には銀のナイフが刺さっている。
どういうことだ?
「ふふ、惜しかったなあ。
まあ、大したことはしてないよ?
光と影の反転。
影を輝かせる、弾幕だよ」
光であるはずの銀のナイフが、影として存在を隠す弾幕。
予想外に厄介だ。
混じりあう大量のナイフ。
玄関ホールの至る所には、既に無数のナイフが刺さっていた。
――――私は新月が好きだった。
月のない、本当に真っ暗な夜。
何も見えなくて、
でも、どこまでも続いているような、
そんな優しい闇。
最近は、サイセンタンギジュツってもののせいで
完全な闇は、作られた明かりに居場所を追われて
――気付いたら幻想郷に居た。
そこで初めに会った人。
「貴方はここにはいられない」
そういって
何よりも暗い、牢獄のような空間に閉じ込められた。
そこには、
私と同じように閉じ込められたという人が沢山いた。
それからのある日、空腹で、皆気が立ってて、
その場所に先にいた人たちに、殺されそうになって――
気付いたら、みんな死んじゃってた。
そして、私を閉じ込めた人が現れた。
何か、軽蔑するような眼をしてた。
『ま、待って、これは、違う・・!
そんな目で見ないで・・ねえ!
助けてよ!!』
「やっぱりね」
「死んじゃえ死んじゃえ!!」
無数のナイフが玄関ホールを飛び交う。
それを咲夜は、僅かな合間を縫うように、大げさに避ける。
戦況は、明らかに劣勢。
一瞬でも気を抜けば負ける。
時を止める能力が使えない。
その事は咲夜にとって非常に辛い事だ。
何か、打開策は――
「疲れた」
ロイはそう呟くと、ぱたりと攻撃をやめた。
「もうお遊びは終わり。
本気で行くよ?
影符『暗中模索』」
再びナイフをばら撒く。
今度は先ほどより、避ける隙もないかなりの高密度。
咲夜はそれを危なげにもかわしながら、
目を疑った。
こちらに、
大きな黒い球体の弾幕がゆっくりと迫ってくる。
それも、玄関ホールのシャンデリアくらいのもの。
これが『影』だとすると、
その影となって姿が隠された実物はそれ同等の大きさとなる。
加えてこの高密度のナイフ。
完全に「詰み」だ。
避けられない!
目の前に迫りくる黒い影、
ふと、その中へ入る黒いナイフが
銀色へ変わるのが見えた。
「―――、
そういうことね・・!」
何を思ったのか、咲夜はその影へ迷いもせず入りこんだ。
するとどうだろう。
その中は、意外にも『安置』だった。
「やっぱりね。
影の近くにはその光となる弾幕があると思って避けていたけど、
ここまで大きいと実はその影の近くに光はない。
今まで恐れていたものは意外にも安全だったってことね」
ロイはそれに驚き、少し嬉しそうな顔をした。
「そうだよ」
しかし、咲夜が入りこんだその黒い弾幕の内部。
そこでも高密度の黒いナイフが、銀のナイフへと姿を変え飛び交っていた。
それを避けつつ弾幕の外へと目をやる。
と、先ほどと同じような大きな黒い弾幕が二方向からこちらへ迫って来ていた。
最初はあまり気にしなかったものの、だんだん近づくにつれ
ある事に気がついた。
影の、黒いナイフがここへ入りこむとどうなる?
姿をかえ、もとの銀のナイフへ姿を変える。
なら、
今迫りくる影の弾幕がここへ入りこんだら――
「――っ!!」
その考えは肯定された。
外部から入りこんだその黒い塊は、
内部で姿を変え、光を放つ大きな弾幕として現れて
「幻符『殺人ドール』―――!!」
まさにその弾幕に潰される寸前。
咲夜が発したそのスペルカードがそれとぶつかり合い
壮絶な大爆発。
噴出した砂煙と爆風はホールを瞬く間に埋め尽くした。
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はーい乙です
咲夜のry
第7話どうだったでしょうか
今回はね、もう戦闘シーンで。
情景描写疲れました。
でも結構物語と関係あるシーン多々ありまして。
あっ、ロイの弾幕、影反転どういう意味かわかりましたでしょうか。
なんか咲夜さんのスペカ名ggってたら
いろいろおもしろい設定でてたので紹介。
•咲夜(さくや)
◦コノハナノサクヤヒメ(木花咲耶姫、木花之佐久夜毘売)。
■八意思兼神の甥(ニニギ)の嫁で、富士山の神様としてかぐや姫と同一視されることもある。
■神主が、東方儚月抄は永琳が咲夜に驚いた理由のヒントになると言っている。
輝夜との接点あったんですね。
時間操作と月つながりで出してただけなんですが。
また、知ってる人多いと思いますが
咲夜さんは、
「十六夜咲夜」→「十六夜の昨夜」→「十五夜」
つまり満月なんですよ
長くなりました;
次回、遂に最終回――
では!ノシ