家でしばらく一緒に過ごす為の準備を、家族や葬儀社の方々に共にする。
当たり前だが初めての出来事。勝手がわからない。けど、なんなしなきゃ。気持ちばかりあせる。いや、ほとんど無意識に動いていたかもしれない。正直、あんまり覚えていない。
居間に綺麗に寝かせられた祖母。お線香や白い布がなければ、普通に寝ているだけのようだ。
葬儀社の方と今後の打ち合わせをする。もちろんやらなきゃいけない作業なんだけど、正直、頭に情報が入ってこない。たぶん気丈にしている家族みんな、おんなじ感覚だったであろう。
打ち合わせも済み、いろんな準備を進める家族。手伝おうにも手伝えないでぼんやりしている自分。
何時間過ぎたかわからない。気付けば夜。
ご近所の方々にご報告をする。そうすると次第に挨拶に集まってくれる友人の方々。
「こんなに早く…残念。ただ、ただ、残念。」
みんな言う。当たり前の文句に聞こえるかもしれないけど、家族にはこの言葉の意味と気持ちがすごく深く伝わる。
「いや、この人は弁天様みたいな人だったからさ…」
一人の男性が言う。
この人は俺が生まれて来る前から須田家によく来てくれる大工さん。べらんめぇ口調で、83歳で現役。今でも仕事にはバイクで行っちゃう元気な職人。止めなかったらずっとしゃべってる、祖父とは真逆のタイプ。THE 昭和の東京人って感じ。祖父の親友的な存在。昔はしょっちゅうなんだかんだ言い合う凸凹コンビのようだった。
その人も、祖母が働いていたお隣のクリーニング屋さんも、口を揃えてみんながこう言う。
「ホントに優しい人だった」
そういや担当のお医者さんや看護婦さんもそんなコト言ってたな。
昔からの身近な人からも、最近知り合ったばかりの人からもそう言われる。
家族はもちろん知ってるコトだしいつも感じてたコトなんだけど、みんなそう思ってたいたんだ。
なんかすごく嬉しかった。家族以外の人に優しく出来て、愛されて、亡くなってすぐに友達が飛んで来てくれる。
素敵な人だったんだな。そう思った。
そんなやり取りを、口数少なく見守る祖父。さっきまではただ、力なく座っていた祖父の背中が、少し誇らしげに見えた。
「昨日は久しぶりにたくさんしゃべって…元気になるかなって思った矢先だったから…」
俺もそう思ってた。と、同時にチームメイトの家族の話を思い出した。
去年の今頃、チームの仕事で静岡に行ったとき。仲間は静岡生まれで、気分としたら里帰り。
お祖父様が入院しているとのコトで、リハーサルと本番の合間に、そいつはお見舞いに行った。
「結構元気そうで安心したよ~!仕事でだけど、ちゃんとお見舞いに静岡来られて良かった。」帰って来た彼はそう言っていた。
その少しあと、大きなショウの日にお祖父様は亡くなってしまった。彼はそのお祖父様の為にも、と、強い気持ちで俺らとステージに上がった。
その後、ちゃんと彼はご挨拶に行けたんだけど、すごく不思議じゃない?
多忙な毎日の中に突然出来た家族との時間。
それが最後の会話になるなんて、もちろん知らなかったけど、なぜかちゃんと話をするコトが出来た。
ずっとしゃべってなかったのに話したり、忙しかったのに予定が空いたり。
偶然、いや、奇跡って言ってもイイかな!
もしかしたら、旅立つ人には奇跡を起こせる力を持ってるのかもね。
そんなコトを思い出して、ただ、悲しかった気持ちが、少し前向きな気持ちに変化して行った。
当たり前だが初めての出来事。勝手がわからない。けど、なんなしなきゃ。気持ちばかりあせる。いや、ほとんど無意識に動いていたかもしれない。正直、あんまり覚えていない。
居間に綺麗に寝かせられた祖母。お線香や白い布がなければ、普通に寝ているだけのようだ。
葬儀社の方と今後の打ち合わせをする。もちろんやらなきゃいけない作業なんだけど、正直、頭に情報が入ってこない。たぶん気丈にしている家族みんな、おんなじ感覚だったであろう。
打ち合わせも済み、いろんな準備を進める家族。手伝おうにも手伝えないでぼんやりしている自分。
何時間過ぎたかわからない。気付けば夜。
ご近所の方々にご報告をする。そうすると次第に挨拶に集まってくれる友人の方々。
「こんなに早く…残念。ただ、ただ、残念。」
みんな言う。当たり前の文句に聞こえるかもしれないけど、家族にはこの言葉の意味と気持ちがすごく深く伝わる。
「いや、この人は弁天様みたいな人だったからさ…」
一人の男性が言う。
この人は俺が生まれて来る前から須田家によく来てくれる大工さん。べらんめぇ口調で、83歳で現役。今でも仕事にはバイクで行っちゃう元気な職人。止めなかったらずっとしゃべってる、祖父とは真逆のタイプ。THE 昭和の東京人って感じ。祖父の親友的な存在。昔はしょっちゅうなんだかんだ言い合う凸凹コンビのようだった。
その人も、祖母が働いていたお隣のクリーニング屋さんも、口を揃えてみんながこう言う。
「ホントに優しい人だった」
そういや担当のお医者さんや看護婦さんもそんなコト言ってたな。
昔からの身近な人からも、最近知り合ったばかりの人からもそう言われる。
家族はもちろん知ってるコトだしいつも感じてたコトなんだけど、みんなそう思ってたいたんだ。
なんかすごく嬉しかった。家族以外の人に優しく出来て、愛されて、亡くなってすぐに友達が飛んで来てくれる。
素敵な人だったんだな。そう思った。
そんなやり取りを、口数少なく見守る祖父。さっきまではただ、力なく座っていた祖父の背中が、少し誇らしげに見えた。
「昨日は久しぶりにたくさんしゃべって…元気になるかなって思った矢先だったから…」
俺もそう思ってた。と、同時にチームメイトの家族の話を思い出した。
去年の今頃、チームの仕事で静岡に行ったとき。仲間は静岡生まれで、気分としたら里帰り。
お祖父様が入院しているとのコトで、リハーサルと本番の合間に、そいつはお見舞いに行った。
「結構元気そうで安心したよ~!仕事でだけど、ちゃんとお見舞いに静岡来られて良かった。」帰って来た彼はそう言っていた。
その少しあと、大きなショウの日にお祖父様は亡くなってしまった。彼はそのお祖父様の為にも、と、強い気持ちで俺らとステージに上がった。
その後、ちゃんと彼はご挨拶に行けたんだけど、すごく不思議じゃない?
多忙な毎日の中に突然出来た家族との時間。
それが最後の会話になるなんて、もちろん知らなかったけど、なぜかちゃんと話をするコトが出来た。
ずっとしゃべってなかったのに話したり、忙しかったのに予定が空いたり。
偶然、いや、奇跡って言ってもイイかな!
もしかしたら、旅立つ人には奇跡を起こせる力を持ってるのかもね。
そんなコトを思い出して、ただ、悲しかった気持ちが、少し前向きな気持ちに変化して行った。