ソデッチです。
お久しぶりです。
今年の異常気候の影響でしょうか?
私は体調いまいちでしたが、皆さまはいかがお過ごしでしょうか?
ご自愛されて、お元気で過ごされるのを祈っております。
ミステリー小説ごときの第三話出来ました。
お付き合いして頂ければ幸いと存じます。
第三話 絶体絶命
登場人物
リク(28歳)人気男性ボーカルグループ「アサヒ」リーダー、ハイトーンヴォイス六オクターブの音域を持つ。高声部担当
トキヤ(27歳)中声部担当
ケイジ(30歳)グループ最年長、絶対音感の持ち主、中声部担当
マサキ(25歳)グループ内最年少だがしっかり者、低声部担当 何者かに殺害される?
サキ(40歳)マネージャー兼世話役係、母親的存在
あらすじ
ケイジの脱退騒ぎは想像以上に「アサヒ」メンバーに衝撃をもたらしていた。
リクとケイジとの溝はかねてから全員の問題意識として捉えられていたが、二人の口論を黙って聞いていた、マサキが青酸カリによって亡くなってしまう。
全員のスマホと、ランクルの鍵(リク所有、全員が乗り合わせて来た)もいつの間にか無くなっていて、そのうえ、外は猛吹雪。
完全孤立、絶体絶命の彼らは自力でこの困難に立ち向かい、無事生還できるだろうか?
第三話 絶体絶命!
「アサヒ」は十代の頃からプロとして活動してきているがケイジ以外はまだ二十代。
ましてや。芸能という世間とはかけ離れた生活を送っている。
追っかけや週刊誌の記者達からの猛追を回避するのも並大抵ではない。
それは、それぞれ個人感にサキは委ねるしかなかった。
だが、リクとケイジとのいさかいに対しては違っていた。
なんとしても、ケイジの脱退を阻止せねばならない。
その思いは日ごと強くなっていく。
トキヤは床に転がっている白いカプセルを重ねたティシュに包み、買ってきたゴミ袋に入れ厳重に保管した。
「ここ(大広間設置しているサイドボードの一番上引き出し)に入れて、かむテープで開けれないようにする。」
トキヤは一番上の引き出しに、上下左右勝手に開けられぬ様ガムテープをしっかり張った。
別荘の管理をしてくれているおばちゃんは彼らが来ることをサキが伝えると、急きょ、二階それぞれの部屋のベッドに置いてある布団やらシーツ等クリーニングに出してくれ、冷凍庫に食材を入れていた。
パントリーには、豆類やら缶詰も用意してあった。
トキヤは黙って二階に上がり、マサキの部屋から毛布を持って来て、一階大広間に眠っている、マサキの亡骸に掛けてやった。
誰もが静かにその様子を見守っている。
っとふいにケイジが「なあ、腹減らないか?」と言った。
その場にふさわしくないケイジの言葉は皆を現実に戻した。
「もう、六時ね。ここに来てから二時間も経っていたなんて、夕食は買ってきたピザとサラダでいいわね。」
誰もが時の経つ速さに驚いた様だった。
それほどショックを受けていたに違いない。
サキは早速皆がいる大広間奥のキッチンへ向かうと、冷蔵庫内からピザを取り出し、備え付けのオーブンに投入。
紅茶の缶、生ミルク、シュガーはそのまま触らず、皆と一緒に買ってきたペットボトルのお茶を出し、なみなみそれぞれのグラスに注いだ。
レタスを千切り、生ハム、アボガド、モッツァレラチーズ、トマト、を手際よく盛り付け、最後にレモンを添える。
気が付くと後ろに気配が…。
トキヤがサキの一連の流れを見ていた様で…。
「どうしたの、黙って見ていたの?私の事を疑っている?私が毒でも入れると思っているの?」
「いや、別に、ただ疲れているんじゃないかなって思って、手伝おうとしたら、あんまり手際良くって驚いて見ていただけさ。」
「ごめんなさい、私ったら疑心暗鬼になっているのね。トキヤがいう通り疲れているのかも。少し二階で休むわ。悪いけど、皆にピザとサラダ持って行って。」
「わかった。サキさん顔色悪いよ。休んだ方が良い。」
「ありがとう」
そう言い残すと、サキは夕食も食べずに二階の自室に行った。
階段は皆がいる大広間脇にあり、サキは全員に、気分が悪いので少し休む、後で食べるので心配しないでっとだけ言い自室に入っていった。
サキ以外、夕食を済ませた。
暫くすると、サキは自室のある二階から階段を降りてきた。
先ほどより確かに顔色が良く皆安したがサキの発した一言にその場が凍り付く。
「さっき言い忘れていたんだけど無くなっているのよ。別荘の鍵が。」
「確か、サキさんが代表して預かっていたはずだよね?」
ケイジが言った。
「そうなのよ。スペアキーも私が預かっていたの。バッグの中に二つ入れたのよ。それが無くなっていたの。スマホと共に。」
「でも、鍵が無いからって別段困らないよな。天気が回復してランクルの鍵さえ見つかればここから脱出して近くの交番にでも駆け付けられるからさ。」
不安そうにケイジが言った。
「違うのよ、パントリーと兼用なのよ。」
「っと言うことは?」
事の重大さを察したリクの声は少し震えていたようで…。
「来る前に皆で買ってきた食料しか無いのよ。パントリーには非常用に缶詰が用意してあったの。管理のオバサンが食料入れてくれてた冷凍庫もパントリーの中。意味分かるわよね。皆で買ってきた一週間分の食料しかないわけ。もし、天候が回復しなかったら…。スマホも固定電話もランクルの鍵もない。」
「けど、こんな酷い吹雪が続くわけないさ。天気よくなったら誰か歩いて近くの国道にでも出て、助け呼ぶとか?」
わざとらしい位に強めの声でケイジが言う。
「国道まで歩いて約30分として、体力的にも不安だ。その時点で現実味がないな。」
「言いたくなかったけど、近頃の異常気象で、去年ここら辺の住民二週間程孤立状態になったの覚えていない?」
サキの言葉にメンバー皆が思い出した。
去年のちょうど今頃、二月半ば、ここら一帯吹雪と積雪が酷く自衛隊が出動したはずだ。
だが、このスワンレイク荘付近は別荘地で真冬で住人もいなく、環境破壊の恐れも加味して、人力が入るのを拒まれたのだった。
つまり、この状態が続けば正に絶体絶命!。
外界との連絡が取れなければ命取りと言うことだ。
サキの話に全員が納得せざる負えなかった。
「ともかく、一旦落ち着こう。マサキをこのままにしておけないし!」
リクの言葉に反応するように皆がコクリっとうなずく。
リク、トキヤ、ケイジ、サキの四人でマサキのご遺体を二階の自室のベッドに置いた。
亡くなった人は生前に比べて重くなるとは聞いていたが、四人が力を合わせてなんとか運んだ。
一息つくと誰とは無く、何か飲まないっとの声がした。
「ロゼワインを買ってきたからそれ飲んで落ち着こうか。」
トキヤが言い、サキがキッチンからワイングラスとロゼワインそしてコルク抜きをテーブル上に置く。
一瞬皆の顔が歪んだようだが…。
皆、疑心暗鬼になっていた。
さもありなん、マサキの死因がハッキリするまで、自ら命を絶ったのか?はたまた、誰かに殺されたのか?言葉にはしていないが、心は一つ「絶対に殺されたはず!」
静かにサキは皆の目の前でそれぞれのワイングラスにロゼワインを注ぐ。
「チーズ持ってこようか?つまみないもんね。」
そう言い残し、サキは再びキッチンへ向かった。
サキは重要な話をまだしていない。
ここスワンレイク荘に来ることを誰にも話してはいない。
「アサヒ」メンバー全員が失踪したと世間は騒ぐだろうか?
このことはまだ話しちゃいけない。
サキはそう誓った。
つづく
最後までお読みいただきありがとうございました。
ソデッチでした。
じゃまったね!!