お久しぶりです。
ソデッチです。
仕事が忙しく、投稿遅くなってしまいました。
よろしかったら、読んでくださいね!!!
登場人物
ミサキ(15歳)記憶を失った少女 必死に過去を思い出そうともがき苦しむ
イズミ(35歳)ミサキの主治医 退行催眠の使い手
ケン(28歳)イズミの助手
あらすじ
自称、精神科施設に運び込まれた「ミサキ」は完全に自分の記憶を無くしていた。
鏡に映る顔が彼女(ミサキ)記憶の中で自身を見つめていたのだ。
それは、イズミ医師の退行催眠の影響がもたらした現象か?はたまた、記憶の彼方で失った何かがあった為か?
混乱の中物語は、進んでいく。
それが、たとえ望みの無い結果としても。
第四話 戦い(刑事が何だっていうのよ!)
翌朝の事、「名無し看護師」が言ったように早速二人の刑事を名乗る人物がやって来た。
二人共、ダークスーツを着こなした30代位、テレビ?で見る刑事はもっと年を取った印象だったが。
「おはよう、気分落ち着いた。」
突然、なれなれしく話しかけてくる、って思ったが、どうやら私はいい子を演出するのが上手かったらしく。
「皆さんに助けられなんとか生きています。」
奇妙な言葉が心から出てきたが、ことのほか、好印象を待たれたらしい。
「早速で悪いんだけど、何か思い出した?なんでもいいんだ。どんな些細なことでもいいから教えてくれないかな。」
背の高い方の刑事が語りかけてくる。
180センチはありそうな、なかなかのイケメンだ。
もう一人は170センチあるかないか、あまり印象に残らない感じでひたすら今時珍しい手書きでメモを書き込もうとしている。
大柄な方が上司なのか。
「昨日の話ですが、イズミ先生の研究室だと記憶していますが、そこの隣りの部屋に備え付けてあるベッドで横になると、先生が円錐形のダイヤモンドだと思われる、ペンダントを私の目の前でちらつかせ、ゆっくりと目を瞑ると不思議に目の前が開いていくようで…。」
本当のこと言おうかかなり焦ったが、真実を話すのがベストだと確信をした。
「そこには鏡の中の私がいて、私を観るやいない、貴方の顔大っ嫌いって言ったんです。おかしな話だと思われそうですが、鏡に映る私は偽物なんです。記憶の中の私と違うんです。」
「つまり、顔が違うってことかな」
大柄な刑事が聞いてくる。
「変だと思われても仕方ないけれど、ホントの事言わなくっちゃいけないから。」
「そうだよ、その通り、君はまだ記憶が戻っていないんだよ、ありのままでいいんだ、人になんて思われようがかまわない、心の中にある気持ちを全部吐き出せばいい。」
その言葉は私を勇気づけた。
「ありがとうございます。鏡に映る自分の顔が違うなんてとてもじゃない、言い出す勇気がなくって。しかも、ここは精神科施設らしいじゃないですか?私は近くの幹線道路で発見されただけなんでしょ。心の病なんかじゃない。だから話すのに抵抗があったし。それに、刑事さんここで私以外の患者に会いましたか?私、未だに会ったこと無いんです。おかしいでしょ、ここに運ばれてきて何日過ぎたか分からないけれど、それにしてもおかしな話。」
「その点は、話せるかな。僕らここに来た時、何人かの患者さんにあったよ。普通に歩いていた。精神科施設なんていうとおかしな人達がまるで何かに縛られて(心も身体も)いるような印象が有ったんだけど、そんなこと、全然なかった。普通の病院との違いって言ったら、点滴スタンドを引っ張ってる人がいなかったくらいかな。疲れてる所、ありがとう。今日はこの辺で帰らせてもらうよ、また、来てもいいかな?」
「はい」
力なく返事をした。
その言葉を後にして二人の刑事は部屋を後にした。
暫くすると、私は気が付いた。
なんって名前だったけ、あの二人、名前教えてくれなかったような気がする。
朝、カーテンを明けにきた時「名無し看護師」がこれから刑事さんが来るからって言ってたんだけど、それはハッキリと記憶している。
翌朝の事、珍しくケン医師が部屋に入って来た。
おはようの言葉と同時にカーテンを開き、まだ夢見心地の私に体温計を渡し、黙って、検温していく。
「お久しぶりですね。先生、お元気でしたか?」
明らかに、気まずい雰囲気が室内に流れる。
最初にあった時のケン医師との印象がなんとなく違っている。
彼の顔に笑顔が消えていたのだ。
「なにか、思い出したことある。イズミ先生の治療受けたんでしょ。」
聞き方が少しだけ乱暴に感じる。
まるで、意に沿わない何かを疑っているような。
「ええ、鏡の中、いえ、鏡に映っているいつもの私が 貴方の顔大っ嫌いって言ったんです。本当の私に対して。」
正直に話すのがベストだと思った。
刑事相手にしてた時みたく…。
「そうなんだ。じゃ、今の君、いわゆる鏡に映っている皆が認識してる、君って誰ってことになるよね。」
「そういわれると、そうかな?でも、確実にこれだけは言えます。鏡に映っている私は、私の知っている、私じゃない!」
「じゃ、鏡に映っている君は誰。」
「本物の私を陥れた犯人だと思う。」
「君が幹線道路沿いに倒れていたのを見つけてくれた方、愛犬の散歩と途中だったんだよね。」
「そう、お聞きしていますが、私にはさっぱり訳が分らないです。」
「その方に対して、君は何を思う。」
「有難いとは思いますが。なにせ、倒れていたし、記憶が無いし、何をおもったらいいんでしょうか。」
「君の顔を奪った犯人を助けた方とも言えるからさ。君に言わせるとね。」
「そんなこと言ったって、訳が分らない。」
「また、後で来るね。他の患者さんの回診もあるし。」
この人、本当に医者なのか。
あまりにも軽すぎるわ。
「あっと、言い忘れる所だった。また、今日も刑事さんが来るみたいだね。さっき、入り口であったよ。深刻そうな雰囲気だった。新情報でも掴んだのかな?ま、疲れさせないよう釘刺しといたから、まだ、あれこれ聞ける状態じゃありませんって。記憶の混乱は少しずつ解決していくものですってね。じゃ、また。」
その言葉と入れ替えるように、昨日の刑事が入って来た。
やはり、二人連れ、昨日と同じ顔で。
「いや、早朝からすまないね。昨日言い忘れた事があったんで、疲れているのに申し訳ない。そこで、若いお医者さんに叱られたよ。まだ、体調が戻っていないのに、二日続けては困るってね。10分間だけって約束させられちゃった。」
意外にケン医師は優しいのかも。
「早速、本題に行くよ。実は君を発見した方、亡くなっていたんだよ。君を見つけた数時間後の事、彼はここら辺の自治会長をされていて奥様が見つけたんだよ。心臓の発作で突然死だったんだが、その…。最後のお顔が苦痛に歪んでいたらしく、奥様の心情ははかり知れない。」
「どうして、昨日話してくれなかったんですか、私にどうすれば良かったって言うの?なにか出来たっていうの?倒れていた人間にどんな事が出来るっていうの。」
回りがくるくるくるくる、うわごとで「刑事が何だっていうのよ。」その言葉を繰り返していたらしい。
後に、「名無し看護師」が教えてくれたから、気が付くと、窓から見える駐車場の景色は真っ暗だった。
どうやら、また、発作で意識を無くしたらしい。
「名無し看護師」が教えてくれた。
「私が、なにしたって言うのよ。」
ぽつり、一人つぶやいていた。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ソデッチでした。
じゃ、まったねー!!!!!