お久しぶりです。ソデッチでーす!

皆さま、お元気にお過ごしでしょうか?

私ソデッチはコロナにも未だかからず何とか過ごしております。

第二話完成?致しました。

個人的にはあまり好きではないタイプ主人公「幸子」、私と同じ、一般主婦が得意の直観力で事件解決に導いていく?

気軽に楽しんで頂けると幸いです。

では、はじまり、はじまり。

 

 

 

 

 

登場人物

渡部幸子(わたべ こうこ60歳)独自の直観力の持ち主。また、噂好きで社交的な一面もあり、嫉妬深い性格。

渡部昭(わたべ あきら65歳)幸子の配偶者 地方銀行の行員。

渡部弘明(わたべ ひろあき25歳)幸子の一人息子。弁護士資格を取るために勉強中。

皆川祭(みながわ さい61歳)真面目で責任感の強いタイプ。同居する長男夫婦に孫が出来るが、生活苦に陥る。

神代優(かみしろ ゆう22歳)幸子の所属する合唱団の伴奏者。

水上清(みなかみ きよし30歳)幸子の住む住宅地付近アパートに暮らすサラリーマン。

柳井まどか(やない まどか22歳)アパレル社員 弘明によって殺害される。

詳しくは前回までの小説「噂好き」をお読みください。

 

探偵 幸子誕生(スーパー タクミの怪)

あらすじ

 

自身の愛息子 弘明(ひろあき25歳)による 柳井 まどかさん(やない まどか22歳)殺害事件発覚後収監されている網走刑務所へ、やっとの思いで足を向け、弘明との対面が実現できホットしたのも束の間、弘明の事件後、仲が良かったご近所の「斎藤さん」や「近藤さん」らは幸子を完全に無視。

そんな危機的状況でも合唱団の仲間は違い、特に仲が良かった皆川 祭(61歳)神代 優(かみしろ ゆう22歳)らは盛んに幸子に連絡を取り、励まし続ける。

だが、思わぬ事態が皆川祭のバイト先「スーパー タクミ」で起こる。

事の発端は皆川祭から幸子への一本の通話から始まる。

 

第二話(スーパー タクミの怪)

 

「幸子さん、助けて!」

鬼気迫る声に幸子は思わず後ずさりする。

「祭さんどうしたの、何かあったの!」

「ごめんなさいね。貴方の方が大変な時にお電話してしまって。

でも、幸子さんに相談する事しか思い浮かばなかったの。感が良くて有名だから。つい頼ってしまって。」

冷静沈着な祭さんにしては、図々しい言い方だわね。

あっと、いけない、また自分勝手な考えに陥るところだったわ。

幸子は弘明の事件以来自身の「ご都合主義的考え」を改める努力を惜しまなかった。

まずは、人の立場で物事を考えよう。

一人息子に命を奪われた柳井まどかさんに恥じぬよう生きなくちゃ。

祭さんの話、冷静に聞かなてはいけない。

「私がバイトしているの御存知よね。」

当たり前じゃない、神代優さんから知ったかぶりして聞き出して、コッソリとバイトしてるとこ見に行ったんだから、あれ、もしかしてばれていなかったりして…。(詳しくは ミステリー小説 噂好き 第三話をお読みください)

ま、この際どっちでもいいか?

にしても、焦っているようね?

「うん、神代さんにうかがったわよ。」

「それなら話早いわ。私スーパー タクミで品出のバイトしてるでしょ。でね、最近タクミの(以後、スーパー タクミをタクミと略称)当日の売り上げが入っている金庫から現金が盗まれる事件が頻発しているの。でね、私がシフトに入ってる時に限って起こるのよ。おかげで、警察から事情聴取を受けることになってしまって、私だけじゃないんだけれども。」

「まるで、犯人扱いね。不安でしょ。」

「そうなのよ。勿論私が犯人じゃ無い事くらいはお分かりよね。」

やっぱ、祭さん変だわ、絶対にこんな物言いする人じゃないもん。

よっぽど困っているんだ。

「勿論よ。何か困っているんだったら出来る限り協力するわ。」

「ありがとう、不安で不安で。」

電話口での皆川祭の言葉は涙声に変わっていた。

「とりあえず今日中にでも会いましょう。仕事あるのかしら?」

「いいえ、警察の事情聴取が終わらないと出勤停止なの。」

「なによそれ、いくらなんでも失礼じゃない。」

「アリバイがハッキリしないとダメなんですって。」

「アリバイって、犯人扱いじゃない。」

「私の出勤日と事件日が同一なのが問題らしいわ。」

「そう、ともかく今日会いましょう。話聞かれるとまずいから私の家に直接きて細かく話して下さらない。なにか力になれるといいんだけれど。ともかく会いましょうよ。これからでもいいわよ、どうせ私暇なんだし、一人暮らしになったんだから。」

勿論、合唱団仲間には昭との離婚話は済ませている。

新しい住所も。

「ありがとう、お言葉に甘えてこれから伺わせて頂くわ。」

「お待ちしてるわね。」

急ぐように皆川祭のスマホは「プチ」っと切れた。

幸子もお湯を沸かし久しぶりに来客のもてなし準備にかかった。

「なんか、わくわくするわ。」

やっぱり幸子の性格はなかなか変われないのか?

幸子はやたら胸がときめいていた。

息子があんな事件を起こしたばかりなのに、信じられない。

やはり、人とはそんなものなのかも知れない。

 

祭からの電話から30分は経っただろうか、幸子の住むアパートの一室、インターフォンが心持力なく鳴った。

画面越しの皆川祭は思った以上に気落ちしているように幸子は感じた。

部屋のドアを開けるとそこには、やつれた姿の祭が居た。

「お久しぶりね、元気だった、」

「幸子さんごめんなさい、急に電話して、アパートまで押しかけて来ちゃって面倒掛けてしまいそう。」

「いいのよ、私もあんなこと(息子の事件)があって練習でていないのよ。」

「そうよね、気が付かなっくて。」

「そんな話はいいから早く入って、人目が気になるでしょ?」

「ありがとう、お邪魔します。」

明らかに、祭は顔色が悪い。

血色の良さが無く、幾分かやせたように見受けられる。

 

幸子の出したお茶を飲みながら祭は語った。

「何時からかハッキリ分からないらしいけど、タクミの売り上げが入っている金庫から少しずつ現金が無くなる事件がおきたの。少額から始まって、最初は1万円くらいから、当初はレジ係のおつりミスだと思われていたの。現金が無くなるなんて、タクミの評判にも関わるし、通報するまで一週間くらい掛ったわ。でも、いい加減気付き始めたのよ。なんかおかしいって?で、結局、通報するまで合計で10万くらい無くなっていたの。事務所の一番大きな部屋で皆が売り場に出るまで必ず通らなくちゃいけない通路沿いの部屋なのよ。金庫が置いてある所。

部屋の扉は常に開けっ放し状態だったの。夜間専門のナイトリーダーの藤貝都さん(ふじかい みやこ 46歳)や道見 翔(みちみ しょう 70歳)さんも怪しい人物誰も見ていないって言ってたし。部屋の入り口には防犯カメラ設置されているけど、普通に売り場行くために皆が通るし、金庫を映すカメラは無かったのよ。性善説に基づいた形よね。今考えるとタクミも脇が甘かったって事になるわよね。」

祭にしては珍しく興奮状態で一気に語った。

幸子に出されたお茶を一口飲み、少し落ち着いた様子で祭は再び事件の概要を語り始める。

「その日の売り上げは各自レジ係が仕事を終えると現金を金庫のある事務所にもっていき、そのたびにそこに居る、事務長か社の方と二人で確かめながら入れるの。銀行の方が毎日売り上げ取りに来るんだけど、売り上げの合計が必ずパソコン上と売上帳に記載されてその金額が合わないって銀行の方が言い始めたの。それで、誰かが僅かな隙を狙って現金を盗んだんじゃないかって事になっちゃたのよ。不思議な話よね。事務室には必ず人がいたんだから?もしかしたら、パソコンと売上帳の方が間違いなのかもって最初は思われていたんだけども。連日それが(金額が合わない)続くといい加減に銀行の方が疑われるのを恐れてか?通報しますって言い出したの。」

「その金庫が置いてある大き部屋の事務室には誰もが許可なく入れるの?」

幸子は不思議に思い祭に聞いてみた。

「うん、そこにあるPCで出退勤入れるから、タクミはタイムカード打刻スタイルじゃなくなったの。だから必ずと言っていいほど誰かいるし、外部からの侵入者は考えづらい。」

「そう、だけどどんなに完璧なシステムにも必ず裏があるはず、例えばその部屋で一人になる瞬間がある人物はいるわよね。最初に祭さんのような売り上げが無くなった日とシフトが同じ人間より一人になるチャンスがある人物を疑うべきなのに、なんか警察も変ね。逆にあまりにチャンスのある人が多すぎるのかも?」

「言われて見れば幸子さんの仰る通りだわ。自分が疑われるなんてショックで私も冷静さに欠けていたわ。」

「それと、金庫の暗証番号知っている人物じゃなかったら犯行不可能。」

幸子の感が冴え始める。

「誰が知ってるか分かる。」

「事務長と、一緒に同伴するレジ係は暗証番号見れるわ。そして社長も、その他は分からない?」

「なるほど、パートの貴方達にはそのくらいしか情報を持っていないわけか?でも、社員さん方はもっと知っているわよね?誰が暗証番号知っているかって。いや、弱みを掴んで脅して聞き出す方法もありだわ。」

幸子は次第に真相に近づいているように錯覚を起こしだす。

「ともかく、情報が欲しいわね。なにか分ったら電話でも下さらない?」

「ありがとう、幸子さん。なんか気が楽になったわ。だって、幸子さんは少しも私を疑っていない。嬉しい。」

「当たり前よ。祭さんの人柄には自信があるもの。合唱団で一緒に練習した仲だし。ある意味、家族より知っているかも。」

幸子はワザと大袈裟に言ってみた。

案の定、祭は喜んでいる。

「本当にありがとう、じゃ、また、何か新情報があったらお電話させて頂くわ。」

「待っているわね。」

幸子は不謹慎にもワクワク感が増していた。

息子の起こした事件の時もそうだったのに、人の性格はなかなか変われないものだ。

はたして事件は無事解決するか。

こうご期待!