「こんな遺言書無効だ!」要点解説

 

亡き父、竹内太郎さんの遺した遺言書。

 

これまで疎遠だった長男啓太と養女和子。父の遺した遺言書が二人に更に深い溝を作ってしまいました。

 

「この遺言書は無効だ!」と怒る啓太は、認知症だった父親に、和子や妻の京子が二人にとって都合の良いように誘導し、諭して書かせた!と主張します。

 

一方の和子は、母の京子と共に長期間父親の介護に努めた自負があります。

 

この二人の言い争いはどうすれば防げたのでしょうか?

 

要点1

長男啓太への遺留分への配慮

遺言書作成に詐欺や脅迫をし相続欠格となった者や、重大な虐待や非行で相続廃除となった者でなければ、相続人には法定相続分の1/2が最低でも認められるのです。

 

要点2

亡き父、竹内太郎さんは自筆遺言を遺しました。では、公正証書遺言書を遺しておけばどうでしょうか?

 

公正証書遺言を作成するのは法律の専門家である公証人です。

彼らは豊富な法知識と経験を活かし、地域の公証役場で遺言書を作成します。

 

公証人は必ず遺言者と直接面談し、作成の打ち合わせをします。依頼者の希望を聞き内容の適法性を確認します。

 

要点3

そして併せて‥‥‥。

公証人は遺言者とのやり取りから、依頼者の認知能力を確認しています。「認知症ではないこと」を確認しているのです。

 

依頼者の認知能力に問題があると判断されれば、公正証書遺言書は作成出来ないのです。

 

亡き父、竹内太郎さんの遺した遺言書は自分一人で作成出来る自筆遺言書でした。

自筆遺言書の場合、作成前後に「認知症ではない事を証する診断書」を取得していたらトラブルを予防出来たでしょう。

 

要点4

和子さんへは手厚い遺産分割が指定されています。これは父への看護の寄与分を考慮したものだったのでしょうか?

介護は人に言えない困難もあります。ですが親子間では当然の介護義務があります。

和子さんの介護は家族としての義務を超え、寄与分に該当するのもだったのかが問われます。

 

要点5

付言事項の活用

遺言書はその最後に、遺言者からの最後のメッセージとして家族への想いを付言事項として記載出来ます。

家族への想いを最後に遺すことが、争族を防ぎ円満な家族関係に繋がる例も多いのです。