子どもは言う通りに育つ
私は小学校先生をしていました。
何を偉そうに言うことじゃないですが
沢山の子育て練習をさせてもらったと感じています。
その中で一番感じたことは
「子どもは大人の言う通りに育つなぁ」とうことです。
2年目で受け持ったクラスの男の子の中に
昨年度学級崩壊を導いた張本人をうつけ持つことになりました。
もう名前の肩書きがすごいですよね
「学級崩壊を導いた張本人」
そりゃあいい噂なんてひとつもなくて
出会う前まで「あぁ、私の教師生活は今年で終わるな。笑」
って本気で思ってました。
始業式の担任発表が終わった後
一番最初に私のところへ駆け寄ってきた男の子がいました。
「先生俺のこと知ってる?」
はい、去年学級崩壊を導いた君ですね。←
内心心臓バクバクで答えた言葉が
「サッカーが得意で走るのが早いB君だよね!これからよろしくね!」
と声をかけました。
彼はぽかんと一瞬呆気に取られた後
もう一言言ったんです。
「俺、悪い子やで?知らんの?」って。
その瞬間言うまでもなく胸が痛くなり涙が出かかりました。
「え?先生知らんわ〜そんなこと。そうなん?誰がそんなこと言うてんの?笑サッカー先生にも教えてな!むちゃくちゃ下手やから!笑」←ほんまに下手 すぐこける
と笑いに変えようとしました。
「へ〜知らんのや〜ふーん。」と言って自分の席に戻っていきましたが
その時の彼の背中と
座った後のなんとも恥ずかしそうな嬉しそうな顔を
私は一生忘れないと思います。
そしてこの事をずっと忘れずに教員、そして子育てに生かし続けています。
彼はずっと傷付いていた。
ずっと周りに悪い子悪い子と言われ
ずっとそう言われるために「悪い子」をしていたんだ気付かされました。
もちろん学級崩壊へ追い込まれ、想像以上に苦しんだ担任先生を知っています。
それを庇うのか。それはどうなるんだ、と言われるかもしれません。
そこは今は一旦置いていて、聞いてください。
悪い子になるまで追い込んだのは一体誰なんだろうと。
悪い子にしたのは誰なんだと。
子どもは生まれてすぐ
「悪い子になろう!」なんて思わないと思うのです、
絶対に、絶対に
「いい子になって、みんなに愛されたい。」と思っているはずなんです。
かつて子どもだった私もそうです。
みんなに好かれて愛されて可愛がられたい。
そう思ってみんなが喜ぶことや笑顔になることを沢山探してやってきたつもりです。
でも理不尽な大人の対応や声かけ
頑張っても認めてくれない、誰も見てくれない
そんな時間が多くなってきたら
誰かが「お前は悪い子だ」と言ってきたら
「悪い子」になって自分を守るしかないのです。
みんなの言う通りに「悪い子」になった方が
見てくれるし、悪い子だと「認めてくれる」
そうでもして
子どもは一生懸命
「認めてほしい」んだなと
身をもって経験しました。
あぁ
子どもは大人の言う通りに育つんだな
って悲しくなりました。
A君は確かに困った事をする子でした。
喧嘩もする、授業もでない、暴走 笑
罵詈雑言の嵐
そりゃあ私も人間ですから傷つくし
お前いい加減にせえよと
思い怒りが込み上げることも沢山ありました
でもその都度
「A君が良い子なの、先生は知っているよ。だから戻っておいで。」と
毎日呪文のように
「良い子だよ、大好きだよ、大丈夫だよ、大切だよ。」と言い続けました。
お陰様で教師生活一番楽しく充実した素晴らしい一年になりました。
最初に不安に思っていた
教師生活終了の鐘は鳴らず 笑
なんでこの子がそんなに悪い子と言われなあかんのかと思うくらい
子どもらしい子に戻って行きました。
その後その子はどうなったのかというと
山あり谷ありで(省略w)
ちゃんと大人への階段を順調に駆け上り
大学生です。
少しやんちゃだろうけど
ちゃあんと大人になっています。
よかった。
先生という第三者の大人の声かけでこれです。
こんなにも、良くも悪くも変わる。
ずっと一緒に居続ける親という立場だったら
どんなけ子どもは変われるんだろうと思いました。
もちろんダメなことはダメだし
常識の範囲内で躾はしないといけない
何度言ってもちゃんとしないし
何度叱っても同じ事を繰り返す
でも、それは悪い子じゃない。
「悪い子」と決めつけて声をかけるから
「悪い子」になってしまう。
正しくは
「悪い子になってくれている」
私も人間だから
感情のコントロールができず
叱らないで良い部分で叱ったり
本間あんたって子は!って言ったり
なんで一回で聞けないかね!!って
無駄に言ったりしています。
でも必ず
「さっきはごめんね。娘ちゃんが良い子ってわかってるよ、大好きだよ。」と帳消しにしています。
出てしまった言葉はどうしても消せない。
人間だから間違った言葉を選んで吐き出してしまうのも仕方ない。
だからこそ「しまった、やってしまった。」と思った時
素直に一人の人間として
「ごめんね」を。
そして
「大好きだよ。大切に思っているよ。あなたは悪い子じゃないよ居てるだけで良い子なんだよ」って伝えるようにしています。
そんな大人が増えて
そんな声かけをする大人が増えて
「みーんな良い子!みーんな愛されてる!みーんな大切!」って
愛ある肯定的な言葉のシャワーを浴びられたら
どれだけの子ども達が
生まれ持ってきた
「誰かのために(自分のためにも)一生懸命生きる」事を
謳歌できるのだろうと
思います。
そして何も難しい事じゃないなって。
目の前の子どもから変えていったら
そう言う人が沢山増えたら
あっという間なのになって
思います。
どうかこのブログを読んでいる
皆さんにはそう言う目で子ども達を見てほしいです。
見て、声をかけてほしいです。
自ら
「僕、私、悪い子なんだよ!」なんて
言わせない世界にしたい。
悪い子になりたくて生まれた子なんて
絶対いないと思うから。
沢山の愛ある肯定的な言葉のシャワーを
浴びさせてあげたい。
そしてその子達がいずれ大人になった時に
またその子ども達に同じようにしてあげてほしい。
世界が生み出す悪い子が少しでも
減ったらいいな。
あなたは悪い子じゃないよ
悪い子にならなくてもいいよ
そんなことしなくても
ちゃんと見ているよ
大好きだよ、大切だよ、
そのまんまでいいんだよ。