音楽は自由にする | twilight zone

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18年続く備忘録と愚痴の吐き出し場です。マイペースに好きなこと書いてるかと思えば、暗めの話も書いてたりします。31で離婚して36で再婚しました。ちょっとだけ波ある人生。



音楽は自由にする/坂本龍一


去年3月に亡くなった坂本龍一さんの自伝です。

訃報を知ったのはちょうど今の夫が泊まりに来てた日の夜中だったな…半分寝かけてる相手を起こすほど、ニュースを見て大きい声が出てしまった。


私はアラフォーなので、出会いはリゲインのCMのenergy flowですが、その後、テレビ局の企画ZEROlandmineでかつてない衝撃を受け、数年かけて少しずつファンになっていった人間です。ファンというほど曲は知らないけど、教授の曲はなんだか身体にしみこんでくるなあと思っています。

MerryChristmas Mr.Lawrence、thousand knifes、undercooled、好きな曲は幾つもあるけど多分マニアックな曲は知らない、そんなかんじ。

undercooledには、初婚の疲弊した時代に大変助けられました。韓国語ラップの曲なんだけど

月光がすべてを溶かすように

色あせた夕陽で肌も信仰も焼いてしまえるように
深い悲しみを花びらに閉じ込めて

香りにして流そう 香りにして流しちゃおう

という歌詞が、怒りも疲れも全て諦観にしてくれて、そういう音楽からの助けられ方もあるんだ、と思ったことを覚えています。まあこの曲はもっと深刻な世界情勢のことを歌った曲なんですが!そしてこの歌詞はその韓国のラッパーの人が書いたんですが、この歌詞の乗ったメロディがあまりに哀しくて美しい、あの頃疲れながらも沢山音楽に力をもらいましたが、これ程癒された曲はなかったです。


本屋さんでこの本を見かけたんですが、教授は私の中で既に偉人というか、関ジャムでも「伝説の生き物みたい」って言われてたけど、どんな人生送って来てんの?と思い、女性遍歴やバンドの軋轢だけがネットで目立つので、こんな天才がどうやって生まれてきたのか知りたくて購入しました。


この本は聞き手がいるので、その人に話した形を活字にしたようなんですが、語り口が優しくて易しい。読みやすくて、ファンだからとか関係無しに言葉がすっと理解できる。本当に語ったことを全部書くともう少し抽象的だったり専門用語連発したりしてるのかもだけど、読者にとってとても分かりやすい言葉を選んで書かれているところが既に好き。


小さい頃から幼稚園の課題で作曲が出たり、大きくなってのちのち作曲の勉強をするようすすめられたり、音楽教育が小さい頃から身近にあって、しかも出会い方も先生も良かったのか、こうして音楽が人生に当たり前のように根付いていくんだなと感心。

でも家で練習とかしないって書いてあってそれもびっくり。昔から、大学受験がピークであとはずっとピアノの腕は落ちてく一方、みたいなことを言っていたので、それまでの多大な努力も勿論あると思うけど、最初に天から与えられたギフトみたいなものが他の人よりも多かったんだろうなあとか思ったり。

でも音楽しかやらないのかと思ったら意外に野球をやってみてまた音楽に戻ってみたり、高校以降ではデモとかの社会的な活動をしてみたり、多くの人がイメージするところの昭和の熱気ある時代を学生として生きてる感じがしました。フォークとか路上で弾いてる人に文句つけに行ったりしてとんでもねえなって思ったけど、なんか時代的にも思想が強めだったりする人も沢山いそうだし、あ〜こういう時代に青春時代を送ってきたんだなと納得。

そして音楽だけじゃないというか、そういうエピソードも人間らしいなと、昔から偉人なわけじゃなく大変なこともいろいろ経てるからこその偉人人生なのが知れて良かったです。


また書き足したくなったら書くかも。

衝動だけで感想を書いてしまいました。

「僕はあと何回、満月を見るだろう」も読みたいな。