根無し草スナオ
公営住宅の募集に2件申し込んだ。
抽選結果はハズレ。
申し込んだ物件は場所が都市部から近く人気があることから、市区町村の募集住宅では100倍以上、都道府県の募集ではなんと500倍以上という高倍率であった。
公営住宅は家賃が安い。にもかかわらず間取りは広い。
こういう理由から応募者は軒並み殺到しているという。
人口というのは狭い都市部に一極集中している。
新築のマイホームを持つにはマンション購入が主流だが、狭い場所に住宅を求めるから縦に建てるしかない。
マンションがブームというより、仕方なくケチくさい共同住宅に放り込まれているのが実情なのである。
確か自分が小さい頃はマンションに住むのは悲しいかな一戸建てを持てない世帯の象徴だったのが
いつの日からか価値が逆転して共同住宅に住むことがトレンドとなっている。
億ションや高級マンションといったパラダイムのシフトでもって。
一戸建てに住みたいわけではない。
ましてやマンションに住むことがダメだということでもない。
一極集中の是非について論じるのは野暮になるからひとまず辞めておくとして、
都市部から離れると空き家が無数にあるのに、都市部では住宅を持てないという事実は、
「根無し草スナオ」という寓話でこんな風に語られている。
近代人は次から次へと理由をつけられて永久に「家」に入れない男に似ている。
この男「スナオ」が望んだのはあたりまえの家だった。
しかし非道な何かが家から彼を引き離した。
彼は庭先でご飯を食べざるを得なくなる。
そこに哲学者がやってきて、それこそが未来の生活だという。
しかしスナオは庭先でご飯を食べる“未来の生活”があまりに大胆すぎると気づき、春になってみすぼらしい小屋へ引っ越しサラリーマンとして働き始める。
そこにまたあの哲学者がやってきて、「君のビジネス努力が経済競争で国の未来の富を生んでいる。」という。
スナオはやがて経済競争に敗れ、公共労働施設に入ることになった。
またもやあの哲学者がその施設にやってきて、こう彼を説き伏せる。
「人類の目標たる輝かしき民主制だ。まさに平等という民主国家の未来がここにある。」と。
けれども割り切れないスナオは、今でも夜な夜な「家」を持ちたいという理想を夢見ている。
家が欲しいだけなのにそれがかなわない。
この寓話で、家からスナオを引き離した哲学書を「地獄から来た破壊者」といっている。
「地獄から来た破壊者」は近代人からパンを取り上げ、そのかわり石を与え、神様がくれた貴重な石だと思い込ませる。
そして田園生活を取り上げ、近代公共建築が象徴する平和と経済の黄金時代を約束する。
道路に放り出され、そっけなくそれが進歩の道だと言い聞かされ、
工場で働かざるをえなく追われて新型賃金労働にされ、それが富と文明に至る道だと思い込まされる。
陰気な産業主義で根無し草にされていることに気づかないなら、「集団主義の威圧」を疑ってみてほぼ間違いない。
抽選結果はハズレ。
申し込んだ物件は場所が都市部から近く人気があることから、市区町村の募集住宅では100倍以上、都道府県の募集ではなんと500倍以上という高倍率であった。
公営住宅は家賃が安い。にもかかわらず間取りは広い。
こういう理由から応募者は軒並み殺到しているという。
人口というのは狭い都市部に一極集中している。
新築のマイホームを持つにはマンション購入が主流だが、狭い場所に住宅を求めるから縦に建てるしかない。
マンションがブームというより、仕方なくケチくさい共同住宅に放り込まれているのが実情なのである。
確か自分が小さい頃はマンションに住むのは悲しいかな一戸建てを持てない世帯の象徴だったのが
いつの日からか価値が逆転して共同住宅に住むことがトレンドとなっている。
億ションや高級マンションといったパラダイムのシフトでもって。
一戸建てに住みたいわけではない。
ましてやマンションに住むことがダメだということでもない。
一極集中の是非について論じるのは野暮になるからひとまず辞めておくとして、
都市部から離れると空き家が無数にあるのに、都市部では住宅を持てないという事実は、
「根無し草スナオ」という寓話でこんな風に語られている。
近代人は次から次へと理由をつけられて永久に「家」に入れない男に似ている。
この男「スナオ」が望んだのはあたりまえの家だった。
しかし非道な何かが家から彼を引き離した。
彼は庭先でご飯を食べざるを得なくなる。
そこに哲学者がやってきて、それこそが未来の生活だという。
しかしスナオは庭先でご飯を食べる“未来の生活”があまりに大胆すぎると気づき、春になってみすぼらしい小屋へ引っ越しサラリーマンとして働き始める。
そこにまたあの哲学者がやってきて、「君のビジネス努力が経済競争で国の未来の富を生んでいる。」という。
スナオはやがて経済競争に敗れ、公共労働施設に入ることになった。
またもやあの哲学者がその施設にやってきて、こう彼を説き伏せる。
「人類の目標たる輝かしき民主制だ。まさに平等という民主国家の未来がここにある。」と。
けれども割り切れないスナオは、今でも夜な夜な「家」を持ちたいという理想を夢見ている。
家が欲しいだけなのにそれがかなわない。
この寓話で、家からスナオを引き離した哲学書を「地獄から来た破壊者」といっている。
「地獄から来た破壊者」は近代人からパンを取り上げ、そのかわり石を与え、神様がくれた貴重な石だと思い込ませる。
そして田園生活を取り上げ、近代公共建築が象徴する平和と経済の黄金時代を約束する。
道路に放り出され、そっけなくそれが進歩の道だと言い聞かされ、
工場で働かざるをえなく追われて新型賃金労働にされ、それが富と文明に至る道だと思い込まされる。
陰気な産業主義で根無し草にされていることに気づかないなら、「集団主義の威圧」を疑ってみてほぼ間違いない。