※ネタバレ上等の感想です 未見で気になる方はお気を付けて
一応主役は松坂桃李さんなんですがそれは前半だけで後半の主役は完全に仲野太賀です 私は太賀が大好物なのでこの映画を事前情報なく見始めたとき「お、太賀出てるんだラッキー」くらいにしか思ってませんでした が物語が進むにつれて「なるほど!だからこの役太賀だったのか!」と思ったほどそれくらい重要な役柄でした というかむしろ松坂さんの見どころは超序盤で終わってるような気さえします 主役のツルギが松浦亜弥に堕ちるところ、ここだけでもう「松坂さんお疲れ様でしたー!!」 いい意味でも悪い意味でもそこでいいお仕事をなさっていてそして完了しています この場面の松坂さんは非常に美しくそして愛おしい わかるわかるよーと言いたくなる”落ちる”瞬間を完全映像化 素晴らしい… ただそこからあとのツルギは語り手みたいな立ち位置です 2004年から2010年の彼らの生息圏のカルチャーを懐かしむように描かれる感じです そして一方の太賀演じるコズミンは後半になるにつれ存在感を増してゆきます なかなかの面倒くさい性格設定でシンプルに嫌なヤツ…ではありますがどっか憎めないかわいいやつでもある、そんな役柄を太賀が演じるとまるで「ゆとりですがなにか」の山岸のようにドハマりします こういうの上手いんだ太賀(余談ですが太賀が山岸に見えると松坂さんも山路に見えてくるような…)しょーもないことを笑い合える楽しい楽しいネバーランドな中学10年生たち そんな彼らにもそれぞれなんとなく訪れるクラスチェンジの季節 そこでさほど変わらなかったコズミンには突如ガンの診断が下されます 医師から伝えられる場面ここ秀逸 言われたことばが理解仕切れず混乱そしてじんわり浮かびあがってくる涙… 太賀ー!すごいよ太賀(太賀の泣き演技大好物)そこから先はクズだけど愛らしい人が何も変わらずでもすぐそこにある死に恐怖を感じながら人間らしい葛藤を抱えながら最期を迎えていく様子が描かれます 印象深かったのはツルギたちが交わした「いい人から死んでいくっていうからコズミンは死なないよねコズミンやなやつだし」って会話 そうだねきっとそうだよねって言い合う仲間たちの背中 あーもうとなってしまう 日常は続きます 命がけの悪ふざけな生前葬及び死後の追悼イベント 笑えないを無理くり笑いとばすとんでもカルチャー なので駄目な人は駄目だろうけど少なくとも私はこの映画の中にいる人らならアリ(な間柄)なんだろなと受け入れられてしまいました(でも何が凄いってこれフィクションじゃなくて実際にやってたんだよなってこと ネット調べるとリアルなとんでもがたくさん ついついオモロ横道に逸れてしまって映画忘れるほどでした) コズミンの死で終わるこの映画は悲しい気持ちには着地しません タイトル通り「あの頃。」を振り返るだけだから そこからも彼らの日常は続くしいつか終わる 「だから何だったの?」という感想を残している人もそこそこいる 私はといえば「こういうのキライじゃない」割と自分がこういう文化に遠からず近からずの立ち位置にいたみたいです 「あーこの時代こういう人いたわーこういう文化あったわー」と楽しめました 他の方の感想には「こんな世界日本にあった???」などと全く共感できないという冷ややかなリアクションも見受けられましたがまぁ重なる思い出やらそもそもそんな時代生きてないって人が「なにこれ?」になるのは仕方ないのかな あと今作品にはちょいちょい下品そしてそれを露悪的にたのしむ文化も盛り込まれているのでシンプルに「そういうの嫌」な人は嫌悪感しかないかもしれません そしてそういう時代性をむしろ主体的にど真ん中でやってこられたライムスター宇多丸さんによる今作品鑑賞評論は別の意味でも面白い ジ アザーサイド的にも楽しめるような気がしましたこれ↓↓↓
『宇多丸、『あの頃。 』を語る!【映画評書き起こし 2021.2.26放送】」
そうこの映画はある『一端』であって広げようとすると当時のリアルな記憶がネット上に転がっているのが面白い 演じられている人物が実在することでいろんな方面から時代の証言がとれてしまう 映画の中のツルギが語った世界がネット上に違う人の口から語られているのがオモロいそしてある意味怖い
本当に銅像作ったんだ…ていうか映画内の再現性すごい
あと映画内の時代のハロプロのプロデューサーだったつんくさんの感想も興味深い
https://note.tsunku.net/n/n3d0b873549c2
…横道にそれればそれるほど広がっていってしまう ちょっと浅くてちょっと深い独自の面白さのある映画でした


