1974年11月に「雨だれ」でデビューした太田裕美さん。


ピアノの弾き語りでアーティストの香りを漂わせ、甘い裏声と少々舌足らずな歌い方が不思議な魅力を醸し出して18万枚を超えるヒット。


その後「たんぽぽ」に続いてリリースしたのが、この「夕焼け」。


1975年8月発売の曲。


作詞:松本隆さん、作曲:筒美京兵さん。


太田裕美さんのデビュー曲から9枚目のシングルまで、ずっとこのコンビによる楽曲の提供ですね。


デビュー曲の「雨だれ」でいきなりヒットしたけれども、続く「たんぽぽ」とこの「夕焼け」にはやや地味な印象を持っていました。


この「小品」ともいえる両曲ですが、じっくり聴いてみるとなかなかいいのですね。


ヒット曲ばかりがいい曲ではないことを示す例でしょうか。


    


あなたに逢えた まぶしい夏が
目に浮かぶ 夕焼け


哀感をたたえた曲の始まり。


別離の曲。


夏に出逢った「あなた」。


秋の足音が聞こえる頃に別れる二人。


別離によって終わりを告げる恋。


今も消えない「あなた」の愛の炎を胸にして泣いている私。


詩の内容だけをみると切なく息苦しいのですが、曲の方は


泣いてはいけませんか 一人で


の部分から明るい曲調に転じます。


この温もりのある調べは、「あなた」を想って目に浮かべた夕焼けの情景をイメージするものでしょうか。


    


別離によって恋の終わりを迎える曲。


この「夕焼け」では泣きながらも「あなた」を想い続けていますが、次の「木綿のハンカチーフ」では涙を清算するために「あなた」にお願いをしていますね。


別離の連作?

「夕焼け」と「木綿のハンカチーフ」を聴き比べて見るのも面白そうですね。


試聴はこちら でできそうですよ。


◆夕暮れ/トワイライト