とんびがくるりと ワンタンメン


「マルチャン ワンタンメン 激メン!」


三橋美智也さんと言えば、実に生真面目な印象があったのですが、1970年代後半に突如として沸騰した「ミッチーブーム」では、当初抱いていたイメージとの落差に実に驚かされたものでした。


ジョン・トラボルタを連想させるような、派手派手の衣装を身にまとって、「激!」とか言ってポーズを決めていましたから、「古城」などの曲を実直に歌っている三橋美智也さんのお姿からは想像もつかなくて。


俄かに沸いた「ミッチーブーム」は何がきっかけだったのか、実はよく把握していないのですが、ウィキペディアさんの記述をみるとラジオのDJで人気に火がついたようですね。


同じ頃、キャンディーズ人気も手伝って水戸のご老公を相手に視聴率で大健闘したバラエティ番組「みごろ!たべごろ!笑いごろ!!」の後番組となる「みごろ!ゴロゴロ!大放送!!」で「ミッチョマン」という人気キャラクターとしてご活躍だったようです。


  ◆  


この「ミッチーブーム」の頃、三橋美智也さんの往年のヒット曲がテレビやラジオからよく流れていました。


そんな往年のヒット曲の中で、私が好んで聴いていたのがこの曲、「哀愁列車」。


ほ~~~れ~~~て~~~ ほれ~て~~~
 ほれてい~ながら~ ゆ~くおれに~
 たびをせ~か~せ~~~る~~~
 ベル~~の~~お~~と~~~


と歌いだしの部分からお得意の民謡風の「こぶし」(ですか?)を堪能させて下さいました。


1956年の曲。


作詞:横井弘さん、作曲:鎌多俊与さん。


ウィキペディアさんによると、なんと250万枚の大ヒット曲。

す、すごいですねー。


  ◆  


哀愁列車。


プラットホームの別れの情景。


日本映画の全盛期の頃によく登場したようなシーンが目に浮かびます。


別れを惜しんでいると、ベルが、非情なベルが鳴るんですね。


今の電子音ではなくて、あの「ジリジリジリ・・・」とけたたましく鐘をたたく音。


この非情なベルの音は、井上陽水さんの「東へ西へ」で「母親みたいで心が通わず」と屈折した感じで表現されているかつての「めざまし時計」の音にも共通するようです。


この発車のベルに前後して、駅員さんのアナウンスが入りますね。


「@@番線急行列車●●号**行き、間もなく発車です。・・・次は◇◇ー、◇◇ー・・・」


今ではほとんどが録音されたアナウンスですが、やはり旅情を誘うのは、そして哀愁を感じさせるのは、駅員さんのライブのアナウンスですね。


昔の映画を観ていて、こういうプラットホームの別れのシーンを観ていてジーンと胸に迫るものがあります。


今の電子音、録音されたアナウンス。

便利にはなったけれども、かつてに比べて旅情を感じるのが難しくなってきているようです。


  ◆  


三橋美智也さんの「哀愁列車」。

この曲を思い出すにつけ、旅情が掻きたてられ、プラットホームでの様々な人間模様を思い浮かべる私です。


  ◆  


試聴はこちら でできそうですよ。


鉄道のある風景