8月も31日になってしまうと、ああまた今年の夏も終わってしまうのだな、と毎年のように名残惜しく思います。
9月になってもまだ暑い日はあるけれども、それはもう「夏」ではなく、私にとってはもはや「暑い初秋」の日に過ぎません。
いく夏を名残惜しんでこの曲、荒井由実さんの「晩夏(ひとりの季節)」はいかがでしょうか。
実はこの曲、二度目のご紹介ですが、まあ、毎年8月31日の記事になるという年中行事の一つだと思っていただけると幸いです。
荒井由実さんの1976年11月発売のアルバム「THE 14th MOON」の最後を飾る曲。
晩夏にゆく夏を惜しむ気持ち、あるいは感傷を感じるのは何も私の専売特許ではなく、この曲の中ではそれが豊に表現されていますので、もう私の出番はなさそうです。
抑制された調子で進行する曲がサビの部分で俄にスケール感が出て来るところが気に入っています。
空色が水色に。茜が紅に。藍色が群青に。薄暮は紫に。
暮色が濃くなっていく様子はどこか季節の移ろいにも似て。
夏に対して「生命の燃え盛る季節」というイメージを私は強く持っているようで、その夏が終わってしまうということは生命力のピークが下り坂になってしまうということに繋げて思ってしまうようなのですね。
どうやらそのために晩夏の時期にいくばくかの感傷をいだくようです。
季節は巡る、とはわかっていながら。
この曲では来るべき季節を迎える気持ちの準備は整っているようです。
夏を惜しむ気持ちだけではなくて。
「晩夏(ひとりの季節)」は「挽歌」ではないようですね。
「惜春」という言葉はよく使いますが、「夏を惜しむ」ことを意味する熟語には馴染みがありません。
単純に不勉強のために知らないだけだったりして。
来年の夏休みの自由課題のテーマにしてみてはいかがでしょうか。
ちびっこのみなさんへの提案。
試聴はこちら でできるようですよ。