1976年4月から、TBS系列で放送されたドラマです。全二十六回。
音楽が中心の記事なのに「ドラマ~」などと仰らないで下さいね。
音楽の話もしますから(ほんの少しですけど)。
■私がこの番組を観たきっかけはなんだったか
実は本放送の時には観ていないんですね。
私の家では、午後十時になるとテレビを消して就寝するという生活習慣だったものですから、午後十時以降の番組については,
ほとんど観ていないのです。
ですから再放送で観る機会に恵まれない限り、午後十時以降のテレビ番組は、哀しいことに観ていないことになるのです。
ところが、少し前のお昼にこの番組の再放送があって、毎日録画して観ました。
なぜ観る気になったのか、ということについて少し説明します。
この「隠し目付参上」の放送枠は、ネット腸捻転解消(TBS=朝日放送、NET=毎日放送→TBS=毎日放送、NET=朝日放送)により、朝日放送制作枠がTBSで空いたため、その時間を毎日放送制作枠にあてて、しかも巧妙に朝日放送制作番組と趣向が似た番組(影同心)を制作し、好評だったこともあって、その後も毎日放送制作の時代劇が四作作られ、その一つがこの「隠し目付参上」ということを耳にしていました。
それで「どんな番組かな?」ということで興味があったものの、なかなか視聴する機会に恵まれずに諦めていました。ところが、先ごろ再放送があったので、飛びつくように観ました。
ただし、正直に申しますと、当初はちょっと意地悪に、斜に構えて観ていました。
それでは、以下に私のレビューを記します。
■隠し目付とは何か
伊豆守松平信明は、二十数年老中職にあり、老中首座をも勤めたが、歴史上記録に残るさしたる功績はない。しかし、実は私的秘密組織である「隠し目付」を編成し、その組織による隠密裏の行動により、天下を揺るがしかねない大事件を未然に防いでいた、という仮定の上にこのドラマが成立している。
■基本フォーマットはどのようなものか
天下を揺るがす大事件になりかねないような事態が起こりつつある時、伊豆守から隠し目付に指令が下る。お駒を通じて各メンバーに密書が行き渡る。密書の内容は「~という兆候があるが、証拠なし。」というレベルのものである。そのため、隠し目付のメンバーは、まず事実関係の調査を行い、揺るがない証拠をつかんだ所で、悪事を働く者たちに超法規措置を下す。
■隠し目付のメンバー構成はどうか
頭(かしら)は、老中松平伊豆守の異母兄、九十九内膳正(三船敏郎:二役)。
他のメンバーは、春楽(江守徹)、吉岡鉄五郎(竜雷太)、左吉(沖雅也)、菊次(大谷直子)、韋駄天のお駒(秋野暢子)。
計六人。
■隠し目付のメンバーの特徴はどうか
九十九内膳正は、昼の顔は素浪人。登場機会が少ないため、謎の部分が多い。
春楽は、からくり人形師。通称「からくり先生」。実質的なメンバーのリーダー。作戦立案、現場の指揮をとる。
また、作戦遂行にあたっては、からくり人形・三太を駆使したり、大掛かりなからくり装置を使用したりする。
医療に似た行為も行うため、蘭学を心得ているようでもある。
吉岡鉄五郎は、町の小さな剣術道場主。流派は不詳。時々、役人の姿をして(月代姿は、かつらを使用しているのか?)、奉行所に入り込み、調書を閲覧していることがあり、そのように簡単に奉行所に入ることが出来るのか、という素朴な疑問がわくが、これは他に影の協力者が存在することを示唆している、という見方もできそうだ。
左吉は、昼間は「遊び人」の風情で、賭場にいることが多く、また女たらしでもある。そういう風情により、悪徳業者の手下として敵方に潜入するケースが多い。
女性の人心掌握担当に付き、女性を通じ、敵方の内情を探る事例もある。
その他、植木職人等、様々な形で敵方に潜入する役回りが多い。
また、天賦の錠前破りの才能がある模様。錠前や仕掛け付きの扉をいじっていたら、本当に開いてしまったりする、スゴ腕の持ち主。
菊次は、芸者として生計を立てている模様。その色香を生かして、敵方から情報を引き出したり、潜入したりすることが多い。
お駒は、町飛脚。前述の通り、密書の伝達役である。鈴を鳴らして「どいた、どいたー。韋駄天のお駒のお通りだー。」と言って、人ごみを掻き分け、街中を颯爽と駆け回る姿はなかなか勇ましい。女中役として潜入活動を行うことが多いが、お駒自身は「いつも子守か女中役」であることを不満に思っていて、菊次が艶っぽい役で潜入活動をするのを羨んでいることがセリフの中からうかがい知れる。だが視聴者の立場でみると、女中役で町娘に扮するとき、なかなか可愛い姿で嬉しい。
■他にレギュラーはいるか
平 平八郎(池田まさる)という小役人がレギュラーで登場するが、名前を見て想像できるように、いかにも小市民的な存在で、このドラマでは貴重なコメディリリーフである。
韋駄天のお駒に一方的に熱をあげていて、お駒が業務を遂行しようとする時に、言い寄ったりして、結果として意図せずお駒たちの業務を妨害することが多いが、時には、平八郎が役人であることをお駒にうまく利用される(お駒の業務遂行に役立つ)ケースも見られる。
お駒をお嫁さんにしたいと思っているのだが、その一方で菊次に色目を使ったりして、単なる好色のおじさんでもある。
後半、お駒と絡むときに、最後に堀に落ちてしまうというのがお約束になり、実際にお駒に「こんなことをしていたら、また水に落ちちゃうよ」と言われ、実際に落ちることになってしまうのは、なんとも可笑しい。
初期は、製作側でも平八郎の存在を活かしきれていなかったような印象だが、次第に平八郎のキャラクターを巧く活かすことができるようになったようで、見ている私としても彼の登場が楽しみになってきた。
■オープニングはどのようなものか
モールス信号のような音
歯車が動く
からくり人形・三太が閉じていた目を開ける
鎖が動く
三太が「ニャー」というような声を発する
葵の御紋がアップ
オープニングソング(主題歌アレンジ)が流れる
ぱ・ぱ・ぱっぱ・ぱっぱ・ぱ・ぱ・ぱ・ぱ
ぱ・ぱ・ぱっぱ・ぱっぱ・ぱ・ぱ・ぱ・ぱ
ぱーぱか・ぱーぱ・ぱーぱー
ぱーぱか・ぱーぱ・ぱぱ・ぱーぱー ~
隠し目付のメンバーが横並びに勢ぞろい
春楽、菊次、鉄五郎、お駒、左吉、九十九内膳正の順でアップ
横からのショットで、メンバーは羽織物(マントのようなもの)を右手で上げる。
ギザギザの緑の色が中央から広がっては消えていく→春楽の「たて」
同様、紫:菊次の「たて」
同様、茶:鉄五郎の「たて」
同様、橙:お駒の「たて」
同様、水色:左吉の「たて」
ギザギザの水色が中央から広がっては消えていく
駆け寄る武士たちの足元
九十九内膳正の「たて」
再び、メンバー横並びに勢ぞろい
暗闇に火の粉が舞う中、「隠し目付参上」のタイトルクレジット
■この記事はまだまだ続くのか
面白いと思って書き留めたことが予想以上に多いので、続きは別の記事 に記すことにします。