92年リリースの6枚目のオリジナルアルバム「RUN」。シングル「ZERO」の後に登場した。勿論、当シングルもこのアルバムに収録されている。
初回版には、黒いCDプラスチックケースと折りたたみ写真集が封入されている。これは中古店を何軒か探せば見つかるから、かつての「RISKY」初回版みたいなプレミア感はない。

ジャケット写真では稲葉の髪が長くなっている。このころから、彼らはハードロック路線を求めており、今までやってきたデジロックやデジポップ路線に象徴されるアイドルチックな雰囲気は少し控え目になった感じがする。
たしかに当アルバムは全体的にハードロック(HR)を貪欲に求めている。もうそこにはかつてのダンスサウンドもデジタルビートも感じられない。B'zは一気にここから、ハードロック志向を突き進むことになる。
まず、当アルバム収録曲の冒頭「THE GAMBLER」が、今までのB'zとはちょっと違うぜ!…みたいな、まさに彼らの勢いをノッケからいきなり表現しているように感じるのだが、それは私だけだろうか。
アルバムのタイトルでもある曲「RUN」。同曲は98年のベストにおいて、新録バージョンが収録されている。
歌詞に社会風刺を取り入れた「out of control」。なかなかパンチが効いているハードな曲である。稲葉のシャウトがすごい。
「さようならなんかは言わせない」もファンの間で好まれる名曲だ。後年、発売されたライブDVDの特典映像として、同曲の演奏を拝見できる。
「月光」はベストにも収録される名曲。ライブビデオにも入っている。テレビCMでもよく耳にした記憶がある。
ひととおり聴いてみたら分かるとおり、B'zはもはやハードロック路線に移行してしまったと言ってよい。
デビュー当初から多用したデジタルビートが、もう前面に出てきてはいない。もはやいったん、決別したと言っていい。稲葉の長い髪が、本来求めてやまないHRに傾倒してしまっていることを物語っている。
さて次回はあの超人気ミニアルバムだ。ハードロックではないが…。